2010-01-01から1年間の記事一覧
穂田川氏ほど長々ベタ誉めしてなかったかもしれないが、彼とこの人が2010年の最大の収穫で、それを思うと、文芸誌を買うのを途中から2誌にしたわりには充実した年だったような。 というのは、この作家のエッセイを読むのは2度目なんだけど、なんか面白…
何だコリャ、赤染晶子はもちっと若いと思っていたが、小林よしのり世代だったのか。アウシュビッツに、そこの所長だった人物が戦後、公開処刑されたことを、同じ残酷さを感じるとかなんとか、すっとぼけた事を言ってる。そしたら、ヨーロッパなんかいいから…
第一作(厳密には一作目ではないかもしれないけど)への自分の評価が間違っていなかったと思うばかりの素晴らしい出来。 文句のつけようがないのだが、ちょっと思うところを書くと、今回は俗っぽいというか、ちょっと芝居めいた人物も出てきたりする。という…
南方での戦争体験が出てくるが、こういうテーマなら、最初から最後までそのものずばりで終始書いた方が良いと思うわ。記憶で書いてるが、登山だとか、昔の女性への想いとかじゃま臭い。なんか無理に現代に重ねたりして、あの体験を語り継ごうとか思ってたり…
未婚の中年女性の鬱屈みたいなもの、か。それでも男性経験は色々述べられていて、結構もてるんじゃん、世の中にはこうは行かない女性も沢山いるぜよ、とか思いつつ、その付き合った男性もとくに面白くはない。シャツに乳首が透けている男性がいや、とか一昔…
この作家の、作家自身にかなり近い人物が主人公であろうこういう作品には、強烈な自負みたいなものを感じて、それは決して嫌なものではなく、最近はちょっと太刀打ちできない所もあるなくらいに感じている。でもまあ残念ながらというか、ああこれは説得力あ…
またちょっと音楽の話なんですが、夜中にテレビで、ユニバーサルかなんかの、オールディーズを延々流し、その後にちょっと高くない?という値段でCDを売ろうとするCMなのか音楽番組なのか分からない番組があって、日本のフォーク特集なんかあったりする…
最初、地震で主人公自らに生じる俯瞰的な特殊な感覚を描く。この感覚が読んでいて落ちてこないというか、どうにも共感を生じないのだが、あとで作者の述べていることを合わせるとそんな事は当初から承知している事らしい。どうも自分は世間の人にはない感覚…
ずっと気になっていたことがやっと解決した感じがします。 うどんの事です。貧乏を極めていたときは、学校の給食で出るような茹でてある太麺うどんを買ってきて、シャワーの熱湯で湯がいて、一パック100円以下のレトルトカレーと混ぜて食べたものですが、…
新潮のこの号でここで言及するのは、新人賞2作とこの作品だけ。長野まゆみは最近新潮に載った某大思想家の娘の書くものより遥かにクレバーな作品で面白いのだが、言及する手がかりの無いようなやはり純文学なのかな?と思う作品だし、多和田葉子は流石に読…
ちらっとこのブログで触れた記憶があるが、新潮新人賞らしい作品、というか。ええ、誉め言葉ではありません。 甲乙つけがたいから二作同時受賞というのが通常の感覚ではないかと思うのだが、私の中での甲乙は鮮明である。 ある過去の事件についての語りから…
もうそろそろ新年号が発売かというときに、11月号の感想を書こうとしている愚鈍な人間がここにいます。 そういえば、先日この世に生を受けはじめて世論調査なんてもう止めれば、と思いました。設問は菅政権の北朝鮮政策についてなんですけど、いつの間に、…
高原氏の作品を一番面白かったと先走って書いたが、この作品も負けていない。キリスト教的なのか、アメリカの田舎的なのか分からないが、アメリカの中西部などでみられがちな、あの裏表のない善良さと、それがあまりに善良すぎてかえって悪意に見えてくると…
高原氏などより余程「あの時代」の中心にいた川崎のほうが、今とあの時代、というふうな言及の仕方をしていてもおかしくないとは思うのだが、本人がいち早く世間に先走って枯れているだけで、あまり他人へは意識を向けないんだなあ、という。台風が中心で無…
絶賛はしないが、この号の群像のなかで一番面白かったかも。ここ最近の純文学には、昨今の不況が暗い影を落とすどころか、それに明確に言及するくらい影響を受けている作品が多いのだが、その中でも出色かもしれない。 もしこれが、失職しかかった学習塾講師…
料理本を「見て」ジャムはホーロー鍋(別に本当はコーティングされていないアルミ鍋以外だったらステンレスでもテフロンでもOKなのだが)で作るのが良いところまで知っていながら、なんで野いちごのジャムの作り方を人に聞こうとするのかよく分からなかっ…
最初、霧がどうだとか、何を書いているのかさっぱりつかめないと思っていたら、マンションのリニューアルですっぽりかぶさってるのをよく見かける覆いのことだとは。 と、そこを過ぎるといつもの作品にも増して平穏な作者自身の日常といった感じの短編。 高…
群像については、書いていなかった言い訳はできません、毎号買ってますから。 やはり仕事が変わったというのと、この先自分も残された時間が少ないかもと思い始めて、なんでそう思い始めたのかは今となっては不明なのですが、とにかくジャズで今まで未聴だっ…
で、結局文學界の10月号から取り上げるのはこの一作だけなのだが、自分が文學界を買っている頃の新人賞の作家なのでフォローしてみるかというだけで、期待半分くらいだったのだが。 正直、琵琶湖の周りをクルマ巡らせたりした前作の方が、出来が良かったか…
このブログは放っておきながら、先日久々に東京競馬場にお邪魔しました。 台風で土曜日中止になったぶんの代替開催が月曜日となって、普通のウィークデイですから、結構ガラガラの状態で楽しめるかと思って、それで行ったんですが、なな、なんでこんなに人が…
ひとこと。素晴らしい。 著者には悪いが(なぜ悪いかは説明省く)、私の中では大絶賛である。笑わせるという意味ではなく、面白いところ、数知れずという感じである。 インタビューを信じるなら、初めての長編作品でこれほどのものが書けるというのは、モノ…
さいきんずっと書いている句読点抜きで、スペースで文節を区切るスタイル。紳士服売り場の描写が面白かったが、屋上に至るあたりの描写はいまいちピンと来ない。 ・・・・・・ という訳で10月号は簡単に片付けて、先走って新潮新人賞について書いちゃいま…
福永武彦が戦後すぐの駐留軍があちこちいる光景のなかで、「ニグロ」と、いかにも異人を気色悪いものとして書いているのが面白い。しかし当時の感覚であればこんなものだろうし、責められない。 あとは発見の経緯がなかなか面白かったが、日記のほかの部分は…
今まで戯曲についてここで書いた事はなかった筈だが、実は読んだことがなくて。 いやー、今まで読まずに正解だったのか、今回の作品がとくに駄目だったのか。比較のしようがないのでよく分からない。 が、少なくとも劇として見ればまだマシだったのではと思…
なぜかシロクマやオットセイが人間達の世界で人間と同じようにして生活し人間がその事を不思議にも思わないような世界での話で、まだ何が面白いのかよく分からない。マンガやアニメとかによくありそうな設定で、紅の豚みたいだな、と思った。
新潮の10月号については殆ど書くことがないので、次の号の新人賞の話ですが、選考委員に提示する5作を揃えるだけでも大変という昨今の不作振りが前回暴露されたにも関わらず、今回受賞作が2作品ありまして、一つ目の作品が素晴らしい。 で、おお、これは水…
可もなく不可も〜という言い方は余りしたくないが、ちょっと怠惰に終わらせてしまうと、取り立ててここに特筆することもない、ちょっと懐かしいころの北国の子供の話だった。
後篇は猫の世話の話はやや後退して、神様の由来やら活動やらの話。それだけに読むのに苦労したが、ここまでの分量で書かれるとそれなりの説得力らしきものは流石に出てくる。説得力というのは、神様を読者も信じるということではなくて、ここまで書かせるも…
最初に白状しておくと、この人の書くものは嫌いになれない。 以前読んだ『星が吸う水』と、主題、モチーフ、非常に似ている。今回は年齢が離れた者が混じっているとはいえ、やはり三人の女性の性をめぐる話なのだ。今あの作品について書いたものを読んでみた…
いやー危うく「ダイヤリー」なのに一ヶ月以上何も書かないところでした。 この間、一番大きな話題といえば中国との関係あれこれですかね。 日本のマスコミは中国のデモを官製ではないかとか、自分達に敵意が向けられることを信じたくないみたいですね。想像…