2008-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『婚礼、葬礼、その他』津村記久子

最初にいってしまうと、面白い、とするのに全く躊躇はないが、物足りなさは残った。 それはこの作品が、いままでの津村作品の枠組みのなかにすっぽり収まってしまうものだからであって、相変わらず上手くて読んでて楽しいながらも、新鮮さや驚きは、とくに彼…

『文學界』 2008.3 読切作品

陽の光が変ってきた(強く眩しくなってきた)という話を書きましたが、このあいだ、"また夏が来るのか"と思ったら、"季節のめぐりが早いな、もうこの反復感はうんざりだ"という気持ちになって、少しだけ死にたくなりました。 夏は本当に嫌です。花粉より嫌で…

『あなたたちの恋愛は瀕死』川上未映子

注目の芥川賞受賞第一作。きっとこれのせいで、いつも発売日の後も余っている『文學界』が私のいつも行く本屋では私が最後の一冊を買うことになった、と勝手に思ってるのだが、さて内容はどうかというと。 うーむ、たしかに文章の密度は濃くてこの量にしては…

『文學界』 2008.3 受賞第一作

ここ数年銀行の合併が相次ぎ重複する支店が減ったせいなのか、窓口が異様に混むように感じるのは私だけでしょうか?

文學界の連載など

やっと『常夏の豚』のアウトラインが見えてきたというか、これは矢作俊彦のニッポン百景にも通じる地方都市の滑稽な光景を映すもので、様々な光景を複数のトピックを通じて綴ってくものなのかな?で、地方の方こそがむしろグローバリズムの真っ只中であるこ…

『ニッポンの小説』高橋源一郎

いつもつまらんつまらん紙の無駄だと言ってきた高橋源一郎のページだが、じつは、『新潮』の福田和也の連載などと違って一応目を通している。たんに何をどう書いてくるのか予想がつきにくい部分もあるからなのだろうが、正直、高橋源一郎にたいする期待を完…

高橋源一郎様ありがとうの巻 『文學界』2008.3より

陽射しの色も変わってきましたね。 私がいちばん好きな季節の到来です。寺山修司には、われに5月を、という名言があってその意味合いの正確なところは分かりませんが、我に3月4月をと私なら言いたいところ。 気候の寒さと陽の光のミスマッチがなんか心地…

『太陽を曳く馬』高村 薫

高村が阪神大震災に未だに拘っているのは、そういう情報に疎い私でも最近知るところとなっているのだが、あの年に起ったもうひとつの重大事件にもおそらく高村はまだ関心を抱き続けているのだろう。 その事が非常によくわかる連載である。 前回のサンガのい…

楊逸のエッセイ

あと一歩で芥川賞作家だった楊逸の新潮と群像のエッセイを読んだが、共に面白い。 とくに新潮のほうの、「中華料理」という言葉を大陸にいる中国人家族がどう解釈したか、のあたりが面白い。この言葉に真剣に悩んだ様子がよく出ている。 群像のほうは、中国…

『新潮』 2008.3 連載ほか

ふと思ったのですが、文学作品にはギャンブル、とりわけパチンコやスロットの話があまり出てきませんね。 これだけ国民生活に浸透しているというのに。まあ本好きにとっては、あれほど時間の無駄なものはありませんからね。 かく言う私も、スロットには10…

『溶けない』藤野可織

これも受賞第一作だが、文學界新人賞ということで扱いが小さい。そこそこ間が空いたイメージだが、第一作を発表できない人もいるかもしれないと考えれば、まずは良かったというべきか。 とはいえ、こういう妄想系は余り私の得意でない分野。しかも先日読んだ…

『文學界』 2008.2 受賞第一作

たまたま連載の話の流れを確認したくて、過去の文學界に目を通していたのですが、このあいだの1月号の福岡伸一とかいう人のエッセイがすごくつまらないのですよ。つまらないというか、何が言いたいのか分からん箇所が多数。 もしかしたら『文學界』向けとい…

『やさしいため息』青山七恵

OL主人公。4、5年音信普通だった弟と再会。ちょっと変わった方法で自分の日常の平坦さに気付かされ、変化を求めたくなる。結果やはり目に見えて変わらなかったもののちょっと気持ちが楽になる、といった内容。 まずはこの他愛も無い内容でこの量を最後ま…

意外な出来事パート2、受賞第一作を読む

いつも発売日に読んでしまう『新潮』の平野啓一郎の連載。今月は殺された弟の奥さんの今の生活がメインだったのだが、信じられない文字が。 (次号完結) 毎月わたしを発売日に本屋さんの文芸関係コーナーに行かせていたこの連載がなくなってしまうとは……。 …

『バッツィーの嫌嫌園』加藤幸子

加藤幸子のようなやや年配の人がこういう非リアリズムの書いてるのは珍しく、それだけで応援したくなる。 今作もバッツィーの勝手ぶりはなかなか面白いのだが、あくまで記憶でいうと、前作よりそのハチャメチャぶり勝手ぶりが少なく、やや型にはまってしまっ…

予想外の出来事、『群像』2008.2読切

今日は待ちに待った文芸誌の発売日です。(先月号の半分弱くらいは読んでないのですが。どうも作風が変わりそうもない人のは読む気がしないんです・・・。なんとも贅沢ですが。) 注目すべきは、諏訪哲史と川上未英子がそれぞれの牙城ともいえる群像、文學界で…

『鹿の目』吉村萬壱

やや緩和されてはいるがいつもの芸風という感じ。露悪的なエロというか。女が鹿の目をしているというが、尋常ではない事が目で分かる場合というのが人間には時にある事は確かではあるものの、読んでいて身に迫るようなリアリティがほとんど感じられない。よ…

『聖書の煙草』田中慎弥

設定は働かず家で酒ばかり飲んでいる30代男性が主人公で、母親が彼を養っている。これは単なる推測だが、田中慎弥がいちばん自然体で書ける設定なのではないか。まず今のぐうたらな状況が語られ、主人公は反省しつつも決してその生活を変えようとはしない…

『長い終わりが始まる』山崎ナオコーラ

モラトリアム終了間近の大学生の音楽サークルでの日々。純粋リアリズム系で不合理要素はゼロ。以上。・・・・・・。 というふうに、これだけで要約を終わらせることもできる小説。そういうのはもういいや、という人はとくに読む必要はないだろう。芥川賞の候補にな…

餃子でいろいろ騒がれてますが、冷凍食品ってオカズ系はなんか割高っぽくないですか。ぜったい自分で作って冷凍したほうが美味しくて安いです。 一方、加ト吉の素讃岐うどんとか、マ・マーとか麺類は便利で安いですね。乾麺茹でるのとたいして味も変わらない…