2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

『宿屋めぐり』町田康

相変わらず語り口は面白いのだが、なんだか面白いのはそれだけみたいな気がして、急激に飽きてきたなあ、と思ったら、来月で終わるらしい。 結局、主とは何ぞやとかの宗教的な問いは、主人公の頭のなかでぐるぐる回るだけという印象。同じ頭のなかで、少し前…

『ピストルズ』阿部和重

展開が遅すぎ。阿部には、というより私は阿部の事を倫理的にすごく信頼している部分があるので文句はいいにくいか、編集部にはもう少し読者を引っ張る努力をして欲しいと思う。ここ三四ヶ月同じ所で止まってる感じすらする。

『歌うクジラ』村上龍

最近なぜか面白く思えるようになってきた。ここまで極端にデストピア化しないだろうとは思うものの、現代に対する批評としてこれは成り立ってる部分があるなあ、というのが徐々に出てきて、なかなか面白い。例えば政府が何かを禁止した、とかこの小説で書か…

『あまりに野蛮な』津島佑子

ミーチャが閉塞感から、とうとう万引きに手を出してしまうとは驚きだった。本人は真剣に悩んで塞がってるのに、周りからはわがままなだけに見えてしまう、というのがよく表現されていると思う。 せっかく手に入れた泥鰌を捨ててしまうのはなんとももったいな…

『骸骨ビルの庭』宮本輝

休載が多いは、展開が遅いは、で、これだけ読みやすい文体でなければ相当読むのが辛かったろうなあ、と思う。脅迫めいたものがあってから、その後の動きがあまりにも無さ過ぎ。またビルに暮らす人々が皆楽天的に明るい感じで、貧窮時代の苦労もあまり雰囲気…

『群像』 2008.4 連載作品その2

そろそろ桜の季節ですが、ネットのおかげで隠れた名所というのがなくなりましたね。どこも酒飲みがいっぱいでうんざり。 私にとっては路上喫煙の煙よりも、路上飲酒者の大声の方がずっと迷惑です。 短めにコメント。

『ゼロの王国』鹿島田真希

新潮の平野作品が終わってしまったので、今いちばん面白い作品がこれ、という事になる。 導入と終わりの読者に向けて語るスタイルも、いかにも近代小説っぽくて面白いし、ほとんど会話だけからなるその内容がまるで漫才のように楽しめる。今月号では吉田青年…

『群像』 2008.4 連載作品その1

はてなダイアリーで、個人の書評サイトで「つまらない」とか書く意味あるか無いかが話題になっていたようですが、これに否定的な意見として、読者にとって意味のあるなしではなく書評している人にとって意味あればいいじゃないの、というのがありました。 ほ…

『ソードリッカー』佐藤憲胤

『りすん』のついでに読んだといっても過言ではないこの作品、冒頭から数ページは読みやすく、しかもカチっとした締まった文体で、しかもいきなり誰にも恨みを買うような人物ではない主人公の兄が酒場で刺されるという何かストーリー的なものがありそうな雰…

『群像』 2008.3 読切作品つづき

しかし今ごろになって、3月号の事書いてるのは私ぐらいでしょうね。 それはそうと、色んな食品が値上がりしてバターとかも手に入らない日がある今日このごろですが、パスタの値上がりが酷いです。 今までスーパーのPB品のパスタを1キロいつも安売り228円…

『りすん』諏訪哲史

連載以外ほとんどシカトしてしまっていた3月号各誌の読切。それでも群像の諏訪氏の受賞第一作だけは、いつか読もうとは思っていた。 冒頭から、やられた!である。前作で一番ウケた所、アローンアゲインの日本語化の二番煎じから始まるのである。全く違う趣…

『群像』 2008.3 読切作品

FRBの相次ぐ利下げにも関わらず連日の世界的な株価下落。それと呼応するかのようにチベット騒乱。 なんか崩壊の予感すら漂ってきて、一度下り坂になると加速するもんですね。 キャリーオーバー30億の"BIG"買ってみようかと思います。 あ、当たっても…

『決壊』平野啓一郎

あれだけ『決壊』を面白い面白い言っておきながら、なぜか平野ファンという方向に行ってない私は、最近出た対談本も評論本も持ってないし、平野氏のブログもたまに覗くだけ。そんなこんなで先月号を読み終わって初めて今月号が最終回と知ったのだが、内容は…

『新潮』 2008.4 『決壊』終わる

ブログをサボっていたというより、ある単行本を読んでいて文芸誌をあまり読んでません。 『決壊』が終わると尚更モチベーションが下がりそうで恐いです。(別に恐いことはないか。誰に叱られるわけでもないし。) 売り切れが恐いので一応4月号は買いました…

『冬蛇』瀬戸良枝

後ろの著者紹介を見ると古臭い名前の割に若いようなので読むことに。 したのだが、作品の内容じたいは、例えば金井美恵子の小説などよりむしろ古臭い。年の離れた余命いくばくもない男性と知り合った若い女性が、いよいよその男性の命があと数日というときに…

『文學界』 2008.3 読切作品

暖かくなって久々に競馬にでも行こうかと思ったのですが、中山の開催に変わってしまいました。電車では行きたくないんで、また東京開催を待ちます。 どうせ負けるので電車賃かけたくないのです。