2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『雲の影』片山恭一

なんだろうなあ、というのが最初の感想。『セカチュー』に偏見があったわけではないのだが。 この作家のほかの作品で、アマゾンで人物が薄っぺらという評があったけれど、それに抵抗するように、心理描写が多い。が、同じ人間のものとして統一感がなく、リア…

『芳香』青来有一

読み終わった直後は"紙の無駄"評価にしようと考えていた。まあ、そういう作品。私が考える、典型的なよくある、暗い純文学。 "ツマラナイ"にする事としたのは、この作品の後に掲載されている小説を読んだ、読んでしまったから。 あの作品よりは遥かにマシに…

『沈黙交易』辻原登

バブルで崩壊する地方都市、和歌山の毒入りカレー事件、中国共産党のチベット侵攻など、社会派的テーマにも目を配りながら、印象としてはあくまでそれらは、添え物に過ぎず、物語の核は、分量的にもそうだが、現代から忘れ去られてしまった小人族との出会い…

『文學界』 2007.2 まだまだ

半ば意地になって、本屋で新刊見かけても素通りするような作家も読んでみました。 で思ったのは、やっぱり今の『文學界』はつまらねえや、ということ。

小谷野敦の今月のコラム

サド公爵夫人に関する文学界隈の話。三島にはあまり興味はないので。

『掌で掬う人生』曽野綾子

超短編集らしいが、少しも面白くない。 よくできた話もあって[普通]にはしてみたが、これなら読むクスリでも読んだ方がまだ楽しい。

『落葉』辻井喬

あるジャーナリストの半生をなぞっただけのハナシ。 辻井さんてワタクシ小説みたいなのしか書かないと思ってた。 きっともう今は辻井さん何も経営していないんだろうけれど、二足のワラジという以上に書ける人だなとは感じた。 ただ、内容は普通の純文学。つ…

『鯔(ぼら)の踊り』高井有一

過去の友達に思わず言ってしまった事が、ちょっとした悔恨になっているハナシ。 普通のよくある純文学。

『常夏の豚』第二回 矢作俊彦

地方都市の無様なニッポン的光景とアメリカの影という、いかにも矢作的テーマが見えてくる作品で、確かに面白いが、これを目当てに千円近く毎月出すものでもない、というのがやはり正直なところだなあ・・・。

対談:石原慎太郎×北方謙三

内容は石原が自説や近況を述べ、北方をときに誉め、北方がおだてつつ拝聴といった具合。 内容そのものよりも、もちろん、石原や北方がどうでも良い作家なので、私にとっちゃ紙の無駄。 それにしても石原は作品化したいアイデア?ハナシ?がまだまだ、確か8…

『文学まであと少し』田中和生

基本的には紙の無駄なんだけれど、今月号は、私が読んでいなかった矢作俊彦と内田樹との言い合いが再録されていて、そこのところだけ少し興味引かれた。 ここだけ読むと、矢作の言うことの方がもっともという気がする。 憲法と軍備にかんして、内田は日本は…

『思考の遊歩』北田暁大

渋谷の街が特別な街からどこでも見られる場所になって良いことだと思った、郊外のロードサイドもよく考えれば似たような状況だけれどもこちらはなんかイヤだ。 というような、そんなハナシじゃなかったけ? とにかく私にとっては、全くどーでもよい事につい…

『歴史のかげに“食”あり』黒岩比佐子

ロシアの皇帝が、明治期に日本にきたときの話。 エッセイの題名のわりには、食そのものの細部が描かれてはいない。 ただ、日本の人々がロシアを非常に大きな存在として捉えている様子なのには、興味が引かれた。 現在、海外に出かける人は多くはなったが、外…

『私のマルクス』佐藤優

そもそも誰が佐藤優の半生など知りたいと思うのだろう? という疑問もあるのだが、これが意外にも面白く読めた。 神学部の学生が学生運動とどのように関わったのか、というのは、けっこう面白いテーマである。 マルクスはともかくマルクス主義者は宗教を否定…

『観念的生活』中島義道

中島義道というと、面白哲学エッセイの人、ということに私のなかではなっている。 ということは、面白哲学エッセイってあまり面白くないと考えている私にとって、中島はどうでも良い人という事。 たまたま鞄に文學界しかなかったという状況に観念して、中島…

『文學界』 2007.2

小谷野敦の小説につられて買ってしまった『文學界』2月号。 目次を見つつ、やっぱり余り読むところねえなーと失敗感に浸りながら、とりあえず目に付いたものを読むことにする。 たまたま鞄に、文學界しか入ってなかったのだ。

『なんとなく、リベラル』小谷野敦

聞いたことある題名だな、と思ったら、一般人があまり知らなくて良いような事まで注をつけたりするところまで、田中康夫の『なんとなく、クリスタル』のパロディ。 田中康夫は相当昔に読んで、記憶の彼方なので内容までがパロディなのかは分からないんだけど…

『文學界』 2007.2

『文學界』は先月号を初めて買ってみたものの、やはりあまり面白くなかった。 だって石原慎太郎なんかの小説が載ってるんだよ。期待できるわけないじゃん。 そういえば、私の本棚に文芸春秋刊の書籍ってあんま無いんだよな、ここの編集者っていいのいないん…

『すばる』

そういえば、『すばる』への言及がないですね。 買ってませんからね・・・。 奥泉さんの小説でも載れば買うんだけれど、さいきん、紹介されてこなかった海外文学の特集ばかり。 しかも、連載陣に辻仁成がいるし。 楠見朋彦が載ったときは迷ったけれど、超短編な…

世捨て・深沢七郎/池内 紀

深沢ってこんなに面白い人だったんだと思った。 てっきり昔の人だと思っていた。 そういえば、今月号は福田和也と保坂和志の評論がないような。 いつも全く気にならない無駄ページと化していたので、今、そういえば、となったのだけれど。 連載終わったのか…

『ひかりのあしおと』村田沙耶香

こういう虚構と現実が入り混じった、いかにも純文学っぽい純文学はあまり好きではないんだが、現代人の抱える病みたいなところを良く捉えているなあ、とは思う。 とくに主人公の母親のキャラが立っていて(良く書けていて)、そのダメっぷりと、それを許して…

『城砦』加賀乙彦

学生運動の描写が終わってしまった。 となると大学病院教授?のその後の半生という方向になるんだろうか? だとするともう興味は半減だなあ。 いちど大学という修羅場を出ると、描写がどこか妙に明るくて、NHKの朝ドラのような雰囲気さえ感じるし、ちょっ…

『神器―浪漫的な航海の記録』奥泉 光

これもちょっと停滞ぎみ。 奥泉作品が面白くなかったことはないので、それほど心配していない。 それでも、今回超常現象めいたはなしがある登場人物によって語られたわけだが、以前の小説で出てきたのと似たような話になってしまうのなら、ちょっと食傷気味…

『太陽を曳く馬』高村 薫

話がほとんど前に進まない。今号であたらしく明らかになった事って余り無かったんじゃないかなあ…。 ふつうの作家ならば、この調子で連載を引っ張っていく(興味を持続させる)のは難しいんじゃないか、とも思うが、そこはさすが高村、ということなんだろう…

『決壊』平野啓一郎

今月号も文句なく面白い。 今回は主として弟夫婦の微妙な関係を描いている。 夫が妻に内緒でWEB日記を書いていて、妻が偶然それを知り、といった展開。 弟がどういうプロフィール設定したかとかそういうネット上での虚実がじつにリアリティもって、うまく…

『新潮』 2007.2

まずは連載から。ネタバレありで。

『常夏の豚』矢作俊彦

これを目当てに文學界を買ってはみたが、まさか主人公が豚だとは思わなかったなあ。 いきなりスピード感のある展開で、矢作俊彦ファンには受ける作品かもしれない。 で肝心の、主人公が豚であるというのが、この後この連載第一回目以上になんらかの意味があ…

『三日月』宮崎誉子

この作家を読むのは初めてだったが、エッセイかなんかで読んだことがあるかもしれない。 ところどころ、凝った文章が顔を出したり、時空がスパっと飛んでいたりして、でもそれが、適度に読書に緩急を与えてくれるかのようで、読んでいて楽しかった。 これも…

『群像』 2007.1

群像のこの号はけっこう当たりだったのだが、次の作品もなかなかいけた。

保坂和志の対談

(思うところあって、保坂和志の顔に関する部分を削除しました。) 保坂って面白いと思ったことは一度たりともないんだが、この対談も保坂のせいか、柴崎の言ってることまでがつまらなく聞こえてくる。 なんで保坂みたいなのが世にウケるかといえば、やっぱ…