2007-01-17から1日間の記事一覧

世捨て・深沢七郎/池内 紀

深沢ってこんなに面白い人だったんだと思った。 てっきり昔の人だと思っていた。 そういえば、今月号は福田和也と保坂和志の評論がないような。 いつも全く気にならない無駄ページと化していたので、今、そういえば、となったのだけれど。 連載終わったのか…

『ひかりのあしおと』村田沙耶香

こういう虚構と現実が入り混じった、いかにも純文学っぽい純文学はあまり好きではないんだが、現代人の抱える病みたいなところを良く捉えているなあ、とは思う。 とくに主人公の母親のキャラが立っていて(良く書けていて)、そのダメっぷりと、それを許して…

『城砦』加賀乙彦

学生運動の描写が終わってしまった。 となると大学病院教授?のその後の半生という方向になるんだろうか? だとするともう興味は半減だなあ。 いちど大学という修羅場を出ると、描写がどこか妙に明るくて、NHKの朝ドラのような雰囲気さえ感じるし、ちょっ…

『神器―浪漫的な航海の記録』奥泉 光

これもちょっと停滞ぎみ。 奥泉作品が面白くなかったことはないので、それほど心配していない。 それでも、今回超常現象めいたはなしがある登場人物によって語られたわけだが、以前の小説で出てきたのと似たような話になってしまうのなら、ちょっと食傷気味…

『太陽を曳く馬』高村 薫

話がほとんど前に進まない。今号であたらしく明らかになった事って余り無かったんじゃないかなあ…。 ふつうの作家ならば、この調子で連載を引っ張っていく(興味を持続させる)のは難しいんじゃないか、とも思うが、そこはさすが高村、ということなんだろう…

『決壊』平野啓一郎

今月号も文句なく面白い。 今回は主として弟夫婦の微妙な関係を描いている。 夫が妻に内緒でWEB日記を書いていて、妻が偶然それを知り、といった展開。 弟がどういうプロフィール設定したかとかそういうネット上での虚実がじつにリアリティもって、うまく…

『新潮』 2007.2

まずは連載から。ネタバレありで。