2010-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『昭和以降に恋愛はない』大江麻衣

「平成以降に恋愛はない」なら何となく感じはわかるんだけど、「昭和以降」といわれても、昭和初期から明治末期は、昭和初期と後期以上に連続性があるんじゃないのと思うんでよく分からない。明治大正に恋愛があったんなら昭和初期にもあるんじゃないかとい…

『創作・遠野物語異聞』

ひとつひとつ書くほどの長さではないのでまとめて。 短編として村田喜代子のものは水準クリア。挿入される作り話?はありがちな年寄りを捨てる話だが、リアリズムのなかで言及する事によって、その境界の曖昧さが際立つような。 皆川博子。15才で剥ける、…

『冬』古川日出男

このブログを始めた当初から180度評価を変えたり、変えないまでも、保坂和志とか藤野千夜とかそれほど悪意も感じなくなっていたりする私なのだけれど、古川日出男は全く分からない。で、この作品も分からない。"分かりやすさから外れた所にこそ"とか上で…

『新潮』 2010.7 読切作品

イキオイであれこれ書いてしまったので、受賞者無しの前回とは違って少し注目していた芥川賞ですが、BSニュースで知った瞬間あらら、と少し落胆したりして。赤染さんのなかでは、今まで読んだなかで一番ピンと来ない作品だったんですよね・・・・・・。 しかしこ…

『やらかいうつわ』青山真治

小説に猫だの犬だののペットについての話を中心に書かれるのは、幼い娘や息子の写真を印刷した年賀状をもらうのに似ている。 本人たちにとってかけがえの無いものだというのはそりゃそうなんだろうけど、入り込めない感じ。 むろん青山真治らしくネコだけで…

『彼女のカロート』荻世いをら

決して面白くはないがしかし、あまり悪く書きたくない、そんな感じ。 この小説もまた上記の小説に同じくわれわれは主人公に近寄りがたい。がしかし、それは意図して行われている。この違いはとても大きく、そしてこの小説を純文学たらしめているものだ。 と…

『ライナスの毛布』堂垣園江

『すばる』らしいっちゃ、らしいんだけども、純文学作品なのこれ?という作品。 主人公の悩みとやらも独我的というかひとりよがりというか、ときにナルシスティックな匂いすら漂い、殆ど読み手に近づいてこない。だいいち今のこんな世の中で商売に失敗してお…

『すばる』 2010.7 読切作品

コメント欄にも少し展開があったので、ワールドカップの話のフォローですが、GOALテンディングが検討されるようですね。遅すぎますが当然でしょう。 それにしても案の定、手でとめた南米の国では、その選手はヒーローらしいですね。 こういう所がまさし…

『予言残像』牧田真有子

これは正直がっかり。出来そのものではなく、私がある程度期待していた部分がこう書かせる訳で許して欲しいのだが。 なんと表現すれば良いのか迷うが、最早この手の類型があってそれに当てはなるような小説なのではないか、とまず思う。やたらと「深刻さ」に…

『群像』 2010.6 読切作品ほか

さて、テレビは(家に人が居ないかぎり)余り見ないもののラジオはわりとよく聴く私としては、サッカーの話題ばかりなのに悩まされてきましたが、やっと終息気配でやれやれです。 しかしその終息に際して、「たくさんのユーキをもらいました」「ありがとうご…