『トゥンブクトゥ』山下澄人

しょうもない言葉遊びはなくなったのだけは良かったが、前作で書いた事以外に書くことは殆どない。ようするに、何の区切りもなく視点を切り替えたり時空を行き来するような、読者を自由にするというよりは結果として混乱に縛りつけるような「技術」以外に、いったいこの作家に書く事があるのか、ということだ。
(ところで、いつもこの作家のことを悪く書いているが、それでも私は読んではいるのだ、ということは念のためここで書いておきたい。以前とは異なり、文芸誌に載っていても全部は読んでいない。それらの読んでない作品の評価よりは、まだこれはマシということなのだ。)