2010-10-01から1ヶ月間の記事一覧

『工場』小山田浩子

ひとこと。素晴らしい。 著者には悪いが(なぜ悪いかは説明省く)、私の中では大絶賛である。笑わせるという意味ではなく、面白いところ、数知れずという感じである。 インタビューを信じるなら、初めての長編作品でこれほどのものが書けるというのは、モノ…

『百貨店残影』諏訪哲史

さいきんずっと書いている句読点抜きで、スペースで文節を区切るスタイル。紳士服売り場の描写が面白かったが、屋上に至るあたりの描写はいまいちピンと来ない。 ・・・・・・ という訳で10月号は簡単に片付けて、先走って新潮新人賞について書いちゃいま…

『福永武彦戦後日記』

福永武彦が戦後すぐの駐留軍があちこちいる光景のなかで、「ニグロ」と、いかにも異人を気色悪いものとして書いているのが面白い。しかし当時の感覚であればこんなものだろうし、責められない。 あとは発見の経緯がなかなか面白かったが、日記のほかの部分は…

『表に出ろいっ!』野田秀樹

今まで戯曲についてここで書いた事はなかった筈だが、実は読んだことがなくて。 いやー、今まで読まずに正解だったのか、今回の作品がとくに駄目だったのか。比較のしようがないのでよく分からない。 が、少なくとも劇として見ればまだマシだったのではと思…

『祖母の退化論』多和田葉子

なぜかシロクマやオットセイが人間達の世界で人間と同じようにして生活し人間がその事を不思議にも思わないような世界での話で、まだ何が面白いのかよく分からない。マンガやアニメとかによくありそうな設定で、紅の豚みたいだな、と思った。

『新潮』 2009.10 読切作品 及び 2009.11 新潮新人賞

新潮の10月号については殆ど書くことがないので、次の号の新人賞の話ですが、選考委員に提示する5作を揃えるだけでも大変という昨今の不作振りが前回暴露されたにも関わらず、今回受賞作が2作品ありまして、一つ目の作品が素晴らしい。 で、おお、これは水…

『十時間』長嶋有

可もなく不可も〜という言い方は余りしたくないが、ちょっと怠惰に終わらせてしまうと、取り立ててここに特筆することもない、ちょっと懐かしいころの北国の子供の話だった。

『猫ダンジョン荒神(後篇)』笙野頼子

後篇は猫の世話の話はやや後退して、神様の由来やら活動やらの話。それだけに読むのに苦労したが、ここまでの分量で書かれるとそれなりの説得力らしきものは流石に出てくる。説得力というのは、神様を読者も信じるということではなくて、ここまで書かせるも…

『ハコブネ』村田沙耶香

最初に白状しておくと、この人の書くものは嫌いになれない。 以前読んだ『星が吸う水』と、主題、モチーフ、非常に似ている。今回は年齢が離れた者が混じっているとはいえ、やはり三人の女性の性をめぐる話なのだ。今あの作品について書いたものを読んでみた…

『すばる』 2010.10 読切作品

いやー危うく「ダイヤリー」なのに一ヶ月以上何も書かないところでした。 この間、一番大きな話題といえば中国との関係あれこれですかね。 日本のマスコミは中国のデモを官製ではないかとか、自分達に敵意が向けられることを信じたくないみたいですね。想像…