2007-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『ピクニック』村松真理

それほど強烈なオモロない理由があるわけでもないのだが、とりあえず読後感はあまり良くない。 まず登場人物のうち、主人公は普通に描けているのだが、他のキャラ、とくに男性陣のほうのキャラが魅力に欠けるというか、現実感に乏しい。母親の現実感もイマイ…

『ワンテムシンシン』古処誠二

たしか直木賞候補にもなったことのある人で、そういう人の作品を読んだことがあるというのは私にしては非常に珍しいこと。宮部云々、京極云々とビッグネームの作品も読んだことが皆無とは言わないが、面白いのは理解できても、読んで何も残らないのも事実。 …

『文學界』 2007.9 読切作品

ふと気が付くと、ここんとこずっと読切作品については毎月『群像』から読んでいて、それはきっと、総体的な作品のレベルが相対的に高いと感じているからなんでしょう。 余りハズレを引きたくないというか、時間の無駄的作品については読んでしまうとけっこう…

『運河を渡る』稲葉真弓

稲葉真弓といえば、前にちらっとここで言及したが内容はほとんど覚えていない。今作もきっと一年も経たないうちに忘れるんじゃないか、そんな程度の内容である。いろいろ過去を回想しながら、老年にさしかかった友達同士の女性ふたりが、天空橋から羽田のタ…

『天国を待ちながら』青山真治

あのうるさいオバサンというイメージの金井美恵子に"ようこそ"といわれた青山なのだが、なんで金井がそこまで青山のことを買うのか、じつは余り理解できない。 相変わらず主人公は、また、ほかの主要登場人物も自意識の怪物と化していて、なぜにそこまで焦燥…

『群像』 2007.9 続き

ブックオフで文藝春秋の前々回の芥川賞発表号を買いました。 成人男性にそこそこ売れている雑誌のようですが、芥川賞以外はまったく興味のない話題ばかりです。 また芥川賞の選評も欄が小さく、あっさりしてますね。

『カソウスキの行方』津村記久子

前作とは異なり今作は、あの傑作『ハムラビ法典』に似た雰囲気のコミカルなタッチの作品で、ちょっと疲れたOLが主人公となれば、もうこれは面白くない筈はない。津村記久子すげー、という感じである。 とくにエキセントリックな趣向をこらしているようには…

『群像』 2007.9

なんか久しぶりに書いている気がしますが、夏風邪はそれほどひどくならずに済んだものの、相変わらず半バテ状態。 墜落しない程度の低空飛行をずっと続けているプロペラ機みたいです。 休みの日は家にこもってればいいものを、本好きでありながらお出かけも…

水牛健太郎氏の高橋源一郎批判

まだ連載モノしか読んでないんだけど、諏訪インタビューの他に今月文芸誌で目に付いたのが、これ。 内容は、とても分かりやすい高橋批判であって、こうして読んでみると至極真っ当な批判であって、きっとあまりにも真っ当なもんだから誰も高橋に対してものを…

いつになったら最新号になるの?の『群像』

夏バテを通り越して、夏風邪の初期症状です。 それにしてもいつになったら、講談社は自分とこのサイトの『群像』を最新号の内容にするんでしょうか? どうせ誰も見てないという判断も正しいかもしれないけど、少なくとも群像の編集やってる人くらいはチェッ…

『空で歌う』中山智幸

当たり前かもしれないけど、中山氏、前作からまったく進歩していない。 相変わらず主人公が性格悪そう。悪そうっていうか、今回なんか厳密にいえば犯罪犯してるんだけど。しかも、まったく共感を呼ばないような内容の。 ワールドイズマインみたいな善悪を超…

諏訪インタビュー

とっくに出てる9月号。まだ本格的には読んでないけど、『アサッテの人』で有名な諏訪哲史の名前があちこち見られる。 あるインタビューを流し読みしてみた。 一箇所、スゴイ! 言ってくれたじゃん、という所を見つけた。 ジャパニーズヒップホップ(という…

『群像』 2007.8拾遺 および諏訪インタビューに触れる

町田康さんの連載問題なく続いてますね。

『ニッポンの小説』高橋源一郎 ふたたび

昨日この日記を書いてしばらくして、この高橋のコラムを読み返してみたが、やはりヒドイ。 高橋は当初、小説は小説家にしか分からない、と言ったのだ。 小説は書いてみないと分からない、などと言ったわけではないのだ。 より詳しく言ってみれば、小説という…

『苔の花』高橋順子

読みはじめたときはこれは大人向け童話みたいなもんかなあ、と思ったけど、大人向けのひねりも皮肉もなく、ただのオハナシ。これも非リアリズムであり、たとえば苔についての描写をもっと濃厚に、そして工夫すれば少しは魅力がでたのかもしれないが。 読んで…

『とある光』瀬戸良枝

なんか観念的な描写が多くて疲れてしまった。情景の喚起力は充分あるのだから、きっと文章はそれほど悪いものでもないのだろうが、それにしてもこの心理はいったいどういう事なのか、とか読み込みにちょっと難儀した。凝り過ぎというかなんというか、どうい…

『文學界』 2007.8 続き

今日も『文學界』の読みきり作品の感想ですが、6作品あって結果として面白い順に読むという事となりました。(中村文則と南木佳士読んでませんが。読まないかも。) コツは巻末の執筆者の年齢をみて、若い人の作品を優先して読むことです。

『ニッポンの小説』高橋源一郎

とうに連載終了した田中和生の批判にたいしてあーだこーだ言い分けしている。 小説は小説家でないと分からないって言い切ったんだから、いまさら、何を言おうと無駄。他の読みの排除いがいの何物でもない。なにしろ「分からない」んだからね。 音楽家でも、…

『美女の林間の空地』岡崎祥久

凡人である男性主人公が、世間とのかかわりを内省しつつ女性と宝くじの番号などをアイテムの軸に、パラレルワールドを転移していくはなし。 転移していくにしたがって、同居女性の行う家事(作ってくれる食事)の内容が劣化していくくだりなどは、予想はした…

『願』安斎あざみ

言問橋だの吾妻橋だの隅田川界隈での散歩がメインの話で、あのへんの空気になじみがあるんで楽しめてしまったが、知らない人にとってはどうなんだろう。下町っぽさと下層生活現場っぽさの同居する、なんともいえない「変わらない」「取り残された」感じは、…

対談『私たちと芥川賞』小川洋子×川上弘美

ふたりの真面目さがよくでた対談で、全体的には退屈なのだが、古井由吉が小川洋子の作品にたいしてひとことも言及がない、というエピソードが面白かった。何も言う事がないというのは、かえって辛いだろうなあ。川上は対談だと嫌味があまりなく抵抗が少ない。

『文學界』 2007.8

夏バテしてます。ちょっと食料の買出し行っただけなのに。