『こなこな』原田ひ香

いっけん何のこと?と思わせる題名で、こう思わせただけで、お笑いでいえば掴みにあたるそれは成功しているのだが、ぶっちゃけ料理の材料の粉のこと。ふだんの料理で粉そのもので何かを造形することなどなく振りかけるか少量混ぜ込むかくらいしか使わないので、油がオリーブオイルとゴマ油、キャノーラ油しかないごとく、粉も薄力粉と片栗粉しか買わない私には、この小説で初めて聞くようなものもあって、粉も色々あるんだなと思ったものの、金持ちが興味を持ちそうな道楽には総じて興味がない私は、この小説を読んだ後も大きいスーパー行ったところで何が売られているかも確認していない。それにしても、キャッチーな何かを前面に出したり、敢えて庶民の場所まで媚びて下りずに自らに近い世界を書きだしてから、この作家にいやらしい所はなくなった。読める作家になった。何度か書いたとは思うが。