新人賞受賞作『隙間』守山忍

一日一日で区切りつつも、その都度変化を加えた話の入り方をしたりして、技術的にはじゅうぶんなものを感じさせる。文章の隅々まで気を配られている感じもしたが、いかんせん、ここまで何も起こらない小説では、これまでの受賞作などに比べちょっと拍子抜けだ。短編を膨らませただけのような気もする。夫婦の感情をそれぞれの視点から語らせるのもありきたりと言われてしまう程度の範囲のものだし、心理内容もあまり掘り下げられたようなものはなく、読むほうは揺さぶられない。