2008-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『対談−KYでも生きられる社会に』森達也×雨宮処凛

最近オモロない対談が目に余るが(川上未映子×福岡なんとかetc)、これも例外じゃない。森達也という人が、ワーキングプアとかその手の問題を頭ではやや理解してても実感としてほとんど分かってないこと、そして恐らくは、あまり分かろうとしていないことが…

『北方交通』茅野裕城子

次の号の発売日ももうすぐなので思い切って言わせていただければこの作品、過去何ヶ月か読んだ中ではもっとも面白くないものの一つ。なんじゃこりゃ、というかんじ。 ただし間違って欲しくないのは、それは純文学作品としてみればという限定したハナシであっ…

『群像』 2008.8 読切作品

ラーメンとかカレーとかスシとか如何にも日本人が好きそうなモノは何ヶ月食べなくても一向に平気なのですが、サンドイッチとメンチカツだけはときどき無性に食べたくなります。他になんかあったかな。昔、コメを食べずにどれほど我慢できるか試していたので…

『夜の鳥』緒形圭子

これといって特徴のない、数ヶ月経ったらまず間違いなく内容を忘れてしまうであろう作品。逆にいえば、取り立てて悪く言う点もない、という。結局DVがあったのかどうかをハッキリさせず仄めかしで終わらせている所とか、弟の眼が変わったとか如何にも純文学…

『terra』川上弘美

勝手に地球のことかと思っていたら、寺の事だったのか?しかしだったら”tera”になるはずでよく分からない。まいずれにせよ、この人への私の評価は不変。あんまり面白くない。 基本的に先ず思うのは、この作家切実に書きたいことが無いんだろうなあ、というこ…

『新潮』 2008.8 読切作品

電装系のトラブルでバイクをバイク屋さんに預けたら、ブレーキとかクラッチの遊びとか色んなところがメンテされていて感激でした。こういうところが個人ディーラの捨てがたいとこなんですよね。量販系のパーツ屋には絶対無理。

『新しいビルディング』青山七恵

年齢のほとんど違わない芥川賞作家の最新作を2作連続で読めたのだが、読後の感想は、この2人じつに対照的だな、というもの。青山作品を読んでいても、野心的な試みは殆ど見られない。いや、もしかしたら一行一行丹念に検討していけば発見はあるのかもしれ…

『しょうがの味は熱い』綿矢りさ

長いこと待たせながら、ベタなものを書いてみたかったとか言い訳して芸能界の内幕もの的な作品を上梓し、おそらく本人もじゅうぶん予想したであろう不評も多少招いてしまった綿矢りさ。これは、そろそろ直球勝負だろうとみて、たいへん期待して読んだのだが…

『文學界』 2008.8 読切作品

ジョギングが実はカラダに良くない説って結構前に流行ったような気がするのですが、その真偽は別として、近所の公園で午後3時くらいの一番暑い時間帯にジョギングしている人たちは、直感的に絶対カラダに悪いことをしている!と思ってしまいます。Tシャツと…

『ばかもの』絲山秋子

この連載が始まったときの自分の感想を読むと、よくそんな事書けるもんだと思ってしまうが、仕方ない言ってしまおう。なんじゃこのリアリティは、読む手が震えるほどの面白さは。 群像の鼎談では、『ラジ&ピース』について、けっこうツッコミがあって、この…

『新潮』 2008.8 連載作品

小谷野敦氏が、楊さんの芥川賞作品を史上最低と書いています。気持ち分かりますけど、いちばんに思ったのは相変わらず勇気あるなあ、ということ。 本来なら高橋源一郎だって、こういうふうに異議を唱えるべきなんだろうなあ、と思います。文学を生き延びさせ…

『実験動物』間宮緑

怪物(実験動物)とそれを作った人物、それだけしか登場してこないのにこれだけの作品に仕上げて、一応最後まで読ませたという事に敬意を表して[オモロない]にはしなかったが、面白い作品とはいえなかった。最初の方に出てくる、この怪物の食事の作法と人間…

『新潮』 2008.8 読切ほか

先日、偶然教育テレビで岡田利規の芝居を見てしまいました。退屈でしたねえ。 いかにも前衛演劇っぽい演出で、いまだにあんなものが演劇業界では行われてるんですね。というのが第一印象。 退屈だったので途中からアイロンしながら音だけ聞いてましたけど、…

『須磨』日和聡子

三島賞の候補のなかに名前のあった作家なので、短いことも手伝って読んでみたのだが。いかにも純文学的な短編でしかなく、むしろ期待は裏切られたほうと言ってよい。 郷里を(おそらく)逃げるように出てきた息子が、年男となった正月に故郷の家を訪ねるのだ…

『ギンイロノウタ』村田沙耶香

最近全然甘口な感想ばかりになってしまってるけど、正直そこそこ面白く読めるのだから仕方がない。 村田沙耶香、同じ『新潮』に載った前作ではせっかく群像の鼎談に取り上げられながら、絲山秋子にたしか紙くずと酷評されていた事を覚えているのだが、どこか…

『新潮』 2008.7 読切作品

えーと、芥川賞が楊さんに決まったというのを昨夜の風呂上り(というか正確にはシャワーあがり)に知りました。選考会の日だったんですね。争ったのは磯崎氏の作品だそうで、まあこの作品は読んでいないものの世評からすれば妥当かも知れず、ここのところ意…

『湖水浴』牧田真有子

群像の巻末の鼎談評では前月の文芸誌掲載の数ある創作作品で3作品だけが選ばれるのだが、何故かこの作品が選ばれていて、順序からいえば新人賞一作目の谷崎由衣でもおかしくないのにと不思議に思うのだが、読めば納得。この作品の方がはるかに面白い。しかも…

『文學界』 2008.7 奨励賞受賞第一作

先日燃料代も出ないくらい厳しいというので、イカ漁を一切休むというニュースがありましたが、その後どうしたんでしょうか。私の近くのスーパーではここのところイカの安売りが続いていて、少しも高くならないのですが。 おかげでイカばかり買うので裁くのが…

『ニッポンの小説』高橋源一郎

残り2回となって、いよいよ本題にという感じの内容で、マルキ・ド・サドと中原昌也を並べ、いかに我々が『近代(的思考)』の呪縛の中にいるか、そして気づかされていないか、を論じている。 いわば、ポストモダン作家としての自らの立ち位置をストレートに…

『文學界』 2008.7 評論

なんか最近、生真面目な作品批評ばかりになってるので、以前やって評判の良くなかった文芸誌最新号素描などをして風通し良くしておきます。『群像』 ・侃侃諤諤が島田雅彦ネタでかなり力が入ってますが、いや良くここまでやるよって感想だけでもはや笑えませ…

『冬待ち』谷崎由依

いまだに軽く余韻を引きずっている圧倒的な絲山作品の直後に読むのであれば、それだけでちょっと不利な処があるのに、このような全く対照的な作品が来てしまって、うーむ、正直今作は読み進めるのに少々苦労した。どのへんが対照的かというと、その自己への…

『文學界』 2008.7 新人賞受賞第一作

芥川賞の候補作が発表されて7作品中5作読んでいるなんとも言えない状態ですが、何故これが?というのはあまり無い方かもしれません。 いちばん取って欲しいのはもちろん津村さんなのですが、津村さんの最高傑作ではないのが少し複雑な気持ちがするところで、…

『ゼロの王国』鹿島田真希

前にも書いたと思うが、今はそのとき以上にこの作品が面白くて仕方がない。 私が連載を面白いと思うための一つの要素として、一回一回の分量が多い、という事がある。一回5−6ページ程度の短さで終わってしまうと物語の展開を頭に充分刻めないので、次の月に…

『群像』 連載作品

なんか良い料理本はないかと思ってブックオフにいっても古くさい使えそうも無い本が多いです。ブックオフは置いてある量だけは文句ないのですが棚の中身をそろそろ整理すべきなんじゃないでしょうか。 時間を無駄されたと不愉快な気分で店を出ることが多くな…

『神器―浪漫的な航海の記録―』奥泉光

作品批評ではなく雑誌批評であると自称するからにはこのブログ、あまり反応がなかろうと連載作品についてもたまには書くのだが、そんな些事に関わらず、この作品が終わったからには言及しなければならない。奥泉光という作家がそれほどの作家かどうかは議論…

『新潮』 連載作品

大河ドラマが最近になく人気だそうですが、未だにいつの時代の話なのか、知りたくもありません。同じ画面に向かうなら、テトリスでもやります。 そもそもちょんまげした人が普通の日本語を話すことに馴染めないのです。嘘くさすぎる。それなのに、刑事コロン…