2012-07-01から1ヶ月間の記事一覧

『ごく単純なこと一点だけ』山城むつみ

吉本隆明の追悼文なのだが、すごく研ぎ澄まされた文章に痺れる。ラストの数行がとくにすごい。前に載っているほかの論者のことを思いっきり否定しているのが更にいい。私は三浦雅士の文章を久々読んで、この人の文章ほんと嫌いだ、と気づかされた。 ただし、…

『日記と周辺』川崎徹

作者の母の最期の日々を描いたもの。ところどころの記述から現実にかなり近いところにあると思われる。 こういう内容で私が悪い評価をすることは先ず無いのだが、入院した母親の付き添いを妹と同時に入れ替わるように行っていて、より円滑にそれが行えるよう…

『出日本記』大澤信亮

タイトルから想像されるとおり、震災がきっかけとなって考えたことが綴られているもの。 全体としてみればいたって真剣で、というか真剣すぎて、そのせいかどうか、前半で平野啓一郎だとか東浩紀とか、あるいは西へと居を移した(「逃げた」と表現するひとも…

『アイビー・ハウス』原田ひ香

最近の若者のクルマとか海外旅行に関心を示さないような低空飛行な生きかたに合致しているのかしらんが、あるいは格安に都会に住めるということだけなんかも分からないけど、シェアハウスというのが流行とまではいかなくてもそこここで言われだしているよう…

『群像』 2012.5 読切作品ほか

まとりあえずチェール・サネンの、自分から転んで膝蹴り食らうというヘタレぶりは放っておくとして。 普段それほど熱心にテニスを見たりはしないのですが、ウィンブルドンではジョコビッチがユニクロ着ているのが何かすごく気になりましたね。トップ選手は皆…

『個人と世界をつなぐもの』宇野常寛×國分功一郎

ほんとならドストエフスキーの新訳を読んだほうがいいんだろうが、気軽な読み物ということで一応目を通す。久しぶりに文芸誌で見る名前だなあ、という感じ。前半から中盤までは理解できない箇所があっても、理解しようとする気持ちが働かないから殆ど読んで…

『歌う人』又吉栄喜

旧琉球王国支配圏内の、とある島出身の初老の男性が母親が亡くなって葬式などのために久しぶりにその島へ帰る。で何を思ったか、時期が来ても墓のなかに骨を納めようとせず、骨壷を抱えては、島に伝わる古い歌(支配者を讃えるようなもの)を、周りの困惑も…

『すばる』 2012.2 読切作品ほか

ファミマのホイップメロンパンがなくなっていました。 ということで、そのコンビニでも数多くの種類が並んでいるとおり、夏はこってりパスタよりさっぱり冷し麺という人は多いようですが、じつは私もそんな一人で、太うどん、細うどん、冷麦、そうめん、と目…