2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧
やや虚言癖のある友達しか友達と呼べる存在がいない女子生徒が主人公の話。この作家の作品はあまり読んでいないのだが、私にとってはこれがベストで、少し荒くみえる記述もあったように覚えてはいるものの(長い作品なので付箋しながら読むわけではない私が…
何作目なのかよく分からないけど、松浦氏が最近折りにふれ発表する死んでない三島もの。今回はごく簡単にいうと、人目に触れない所に透明な塔を建てる話だが、確かにこんな塔があれば面白いなと思うだけで、今振り返ると最初に読んだものが一番面白かったか…
もはやこれもホモソーシャルという感じ。ただし女性同士の。 象徴的なのは、この作品に出てくる「血の繋がった父親」と、「年寄りの父親」までもが対立せず、それとなく良い関係であるところ。普通ならば一人の女性をめぐって男というのは対立するのだろうが…
これを読む前に『新潮』の青山作品を読んで心証を良くしていたからだろうか。 必ずしもそうではないと言いたいくらい、これもまた楽しく読めたんだよなあ。結構これまで青山作品に対して冷ややかだった私は何故に変わってしまったのか。 先日なんとなく反省…
こういう事で十把一絡げに考えてしまうのは良くないことだと分かっていながら、ついつい公道上において自転車ほど危険な思いをさせる嫌なものはない、と嫌いまくっている昨今の、とくに自転車ブームなどといわれてから尚更の私ですが、むかし実は、2年間く…
『文學界』でいちばん面白かったページ。 最近のサービスエリアはけっこうその場の特色が出ていて面白いらしいが、私自身は全く行く機会もなければ行ってみたいとも思わない。ああいう所で食べるラーメンやそばほど不味いものはないという先入観がとれない。…
「多文化主義においては、規範となるべきものが、道徳からセキュリティへと移動する」池田氏は引用したに過ぎないが、ここの処はなるほどと思わせる。 しかし、この流れがもし如何ともしがたいのであれば、たとえば、政治が文学や美学から切り離され、限りな…
これは何? こんなにすごい人たちと知り合いになれちゃう自分もまたすごいのです、という間接的な自慢じゃないとは思いたいのだが。 挿話もとくに面白いとは言えないが、それより、ラストの一行が何を言いたいのかさっぱり分からない。こんなエッセイは初め…
初めて精通する年頃の男の子の年上女性への想いと同級女性への複雑な思い。この学の無い父ちゃんがもっと下品だったら良かったのに、これでは何の感想もないな。読んですぐ忘れる。
自分の事をちょっと変わった人間であると思うようなプチインテリに極めてありがちな凡庸な内面をもった中年女性の独白をえんえん読まされて辟易。だから何?
どうもここで描かれている主人公の中年女性に対する眼が、女性蔑視とまではいかないが、いやらしさを感じて、読んでいて嫌な気持ちにさせられた。さいごにこの女性が性的な事をされるのだが、こういう歳で一人身の女性は大抵そういう事を期待しているものな…
新年創作のなかでは一番面白かった。御婆さんも、それに苛められる小説家志望者にしても、呼吸を感じる。京都の観光客混じりの光景の喚起力もある。
だんだん、読んでも読まなくても良い程度の話になってきた。「二人の母」などは話として一番重たいのだがコンパクト過ぎてなんの感慨もない。「殴る蹴る」が一番話としては面白いが、だから何?という程度。
田舎で近所に暮らしている、結婚まで考えているもの同士が、昔は婚外セックスが田舎では風習としてあったので、じつは血が繋がっているのかもしれない、そういう話。 昔はセックスをするのも命がけだったとか、そりゃ今の基準から考えれば、セックスに限らず…
作家である夫が死んでからあれこれ忙殺されていた日々も一段落し、熱海に休暇をとりにいく話。この年代の作家は、むろんそれだけの作品を残したからというのが一番の理由だろうけど、ホテルに長期滞在できるだけの金銭的余裕があるんだなあ、というのが大き…
この、何について書こうとしているのか全くにわかには分からない感じが、文学的という事なんだろうか? どうも群像の連載にしてもそうだが、物理的には結びつかない事象が言葉によって結びつくみたいな、言語を前提にした主観主義(主言語主義?)みたいなも…
うーむ。これほどそれぞれに分かりやすい特徴があって、きちんとオチがついた作品だと、こういう評価にならざるを得ないかなあ。とくに「百年生になったら」で、ずる賢い万引き婆さんに中年女性がインスパイアされてしまうというのが面白かった。まあ、こん…
小沢問題でメディアは揺れていますが、過去の政治家のスキャンダルのときと比べて少し冷静な気がするのは私だけでしょうか? 鳩山問題のときもそうでしたけど、民主党支持がこれでガタガタ落ちるという事もなさそうで、という事は、逆にいえば、もう小沢とか…
もはや結構話題になっているだろう対談なので、私程度のがあまり言及するまでもないかな。 面白かったのは、蓮実重彦が広めた純文学を規定するロジックを東が思い切り「自滅のロジック」と言い切り、あくまで文体を捨てられない平野がそうかもしれないですね…
この小説家は何度も何度も書くけど会話が良くて、徐々に二人の仲が離れていくあたりの微妙なすれ違い描写から、別れの場面までどうしても一気に読んでしまう。それだけの引力がある。 そしてきちんと読む人にこういう世界もあるんだという色んなディテール(…
私のなかでこれ大絶賛なんですけど。まったくいつのまに青山七恵はシフトチェンジしたんだ?というか、例によって私の見る目がいままで無かっただけ? 大学の食堂に勤めるおばさんが、いつもそこに食べに来る女子学生に勝手に思い入れして、まるで自分の娘の…
エンタから外れ最近めっきり近代小説家の高村だが、田舎のレベル低めの高校教師の日常を描く。私生活でも父親を介護していたりして、つまりは鬱屈した中年(オヤジまではいかないくらいの)が出てくる。この小説は「ヤマメの虐殺」というキーワードが成功さ…
タイムトラベルを使ったSF作品かな。今これを書くにあたって、どこを眺めてもどういう作品だったか殆ど思い出せない、読みどころの少ない作品だった。
クマのプーさんの話に出てくるキャラたちが自我に目覚めて決められた物語から逃れようとする話がメインなのだが、科学的な思惟の限界を書いた部分が面白かった。計算でしか捉えられない自覚できない存在が消えたからって、それってなんか我々に関係あるの?…
この人の作品を読んで、はじめて少しだけ面白いと感じた。父の臨終の言葉の意味が最後になって明かされる構造があるお陰で、短いながらも読んだなあ、という感じを抱かせる。でもそれにしても、じっさいのところ父親をそこまで憎むかなあ、というのがよー分…
実際にあった話のようで、その長さから見ても、フランスに実在したマイナーな詩人?に関するエッセイみたいなもの。それだけ。詩の内容もどこがそんなに良いのか、よー分からん。
話だけ聞いてると、どう見ても男性の側が勝手だよなあという感じで女性をフっておきながら、その女性の親の墓参りに、豪雪のなか自分への罪のように、行く話。その気持ちがよー分からん。
外国というかアメリカで暮らしたとき、色々犯罪も多くて不安だし、コミュニケーションも時折うまく行かなかった、でも景色が綺麗だった、そんな話。信号であまり待ったりしてはいけない、というのが面白かった。それだけ。
もうこの人がこういうもの書くと完成されているから、何も書くことないよな。町田、相模原のあたりの外国人が多く住む町を舞台にするあたりも、きちんと現実をキャッチアップしてる感があるし、以前あの頃仲間として対談した内田なんとかさんや高橋源一郎な…
これもまだ序章の序章という感じで、とりあえず3人の女性が出てくる。一人目は、これまでの金原作品にも出てきそうな内向的な激しさを持った女性で、3人目の長身にコンプレックスを持つ女性もどちらかといえばそう。 主婦となってしまって茫然自失となって…