『メガ・クリティック 文化の変容』池田雄一

多文化主義においては、規範となるべきものが、道徳からセキュリティへと移動する」池田氏は引用したに過ぎないが、ここの処はなるほどと思わせる。
しかし、この流れがもし如何ともしがたいのであれば、たとえば、政治が文学や美学から切り離され、限りなく無味乾燥でたんなる分配機構にすぎなくなる、たとえば、国連の事務総長などは、われわれの生き方を何も象徴していないような存在となっているが、そのようなものに一国の政治はなりえるのだろうか?
恐らくならないだろう。だとすれば、政治から切り離せないものとして文学を実践しなければ、われわれは的確な批判者にはきっとなりえない。
この評論は、いろんな意味で考えさせる。重要。