2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『キャラクターズ』東浩紀+桜坂洋

ところどころ虚実入り乱れた感じで、他の作家や評論家、編集者?の名前まで出てきて面白く読める箇所があったので、[面白い]とはしてみたが、じつは微妙。 どこまで本当かは分からないが、二人で交互に1章づつ書き、またそれぞれが勝手に物語を作り出してる…

『新潮』 2007.10 読みきり作品

だいぶ過ごし易くなりましたが、過ごしやすい気候になると眠気も最高潮です。

田中和生が高橋源一郎との話しを蒸し返している

なんか長いんだよね。怒っているというより、これをネタにいろいろ書ける、と嬉々として書いてるんじゃないかと思えるかのような饒舌ぶりで。 ポストモダンとはとか、そういう所まで話を広げられても興味のある人がどれほどいるんだろう。とりあえず、その量…

佐藤優

学生時代の話が終わってつまらなくなるかと思いきや、モスクワにいってからの話もなかなか読ませる。この人はいったい何をやってるんだろうという。それにしても記憶力が尋常ではない。事実とあってるかどうかの判断はまるでつかないけど。

『常夏の豚』矢作俊彦

食をめぐる問題とか、地方経済の惨状の問題とか、内面好きの文学好きが避けて通るような社会政策的テーマを扱うのは大いに賛意を表したいんだけど、あとはこの現実離れしたドタバタが楽しめるかどうか。 ブタを擬人化しているところとかも含め、私はあまり楽…

『心はあなたのもとに』村上龍

どんどん読み手としてテンションが下がっていく、そういう作品になってきた。 たんなる純愛ものとどこが違うか、あまり良く分からない。この成功した男が、この難病の女性に興味をもった理由はそれとなく分かるのだが、もっとより深く愛することになった理由…

『宿屋めぐり』町田康

これまでの粗筋が語られて総括されていくところなど、なんか物語りも終盤って感じがするんだけど、どうだろう。まだままだ突如として面白いフレーズが出てきたりはするけど、以前ほど筆の乗りが感じられない部分もほんの少し感じたりもして。 これもまた私が…

『歌うクジラ』村上龍

あまり筋じたいに、ワクワクしてこないんだよね。それがあればもっといいのに、と思う。 私にとっては、たんなるデストピアSF小説の枠内のものでしかなくて。ところどころ、そのデストピアな状況が現代に対しての痛切な批判になっているところはあるけれど…

『あまりに野蛮な』津島佑子

現代と戦前とが交互に語られるというスタイルを月刊誌の連載でやられると、話の内容を覚えてなくてついていけなくなりそうだ。 せっかく生まれた坊やが亡くなったことがいきなり既出のように語られて、読むほうとしてはあせる。明彦(学者であるダンナ)とギ…

『骸骨ビルの庭』宮本輝

今までは、みんな戦後苦労してきたんだみたいな苦労話ばかりだったんだけど、なんかちょっとスキャンダラスな内容もでてきそうな気配。みんな根は良い人間なんだ、みたいな所に収束していくのは勘弁と思っていただけに、ほんのちょびっと期待。

『ピストルズ』阿部和重

ヒーリングサロンの由来とかそういう話が続いているんだけど、話的にあまり興味がないなあ。小説技術として何も悪いところはないし、阿部和重もどちらかというと好きな作家なんだけど。

『日本語ラップ……その現在と未来への可能性』ダースレイダー

たんなるエッセイにコメントするのもなんだけど、つまみ読みしたので。 で、そこにけっこうな量転記されている日本語ラップなんだけど、その良さがほとんど分からない。ラップが近代文学と比べても遜色ないものになってきた、という事なのかとも考えたけど、…

『神器―浪漫的な航海の記録―』奥泉 光

独自の作戦が明らかになるまでも長かったが、明らかになってからも長い。まだ本格的には出帆していないんだもの。 こちらは高村作品とは逆になんか通俗風味が増してきていて、現代とはもうちょっと異質な、あの頃らしさが出てきてもいいんじゃないかと思うん…

『太陽を曳く馬』高村 薫

エンタテインメント系の作家の作品なのに事件らしい臭いが全くなかった今までなのだが、今回事件性が示唆される事件が起こって面白さ倍増の気配。 主人公の刑事の部署に仕事を監督しているような役割の人が張り付いていて、常に何かあれば報告を求められると…

『決壊』平野啓一郎

今月号(10月号)は増ページにも関わらず、あっという間に終わってしまうの気がするのは面白いからで、新潮がこれを増ページにするのは正しい選択だ。とはいっても、冒頭あたりにもう少し粗筋をくわしく書いてくれないと途中から読もうという人もなかなか居…

連載短評 ほか

どうも連休というと道が混みます。連休なんか無いほうが快適です。

『創作合評』笙野頼子+伊藤氏貴+中島たい子

小説は書いてみないと分からないらしいので、作家が多く登場するこの鼎談は、高橋さんや保坂さんにはけっこう参考になるんだろう。 などと皮肉もいいたくなるのは、ここで毎月行われている小説家が行う評論が、それほど違和のあるものではないと感じるからだ…

『群像』 2007.10 巻末の鼎談

最近、安くて質の良い野菜が手に入りにくいように感じるのは私だけでしょうか。

『欠落』宮崎誉子

男性が主人公とはいえ基本的にいつもの宮崎文体で、内容も非正社員労働を描くというこれもいつもの内容。 でも面白い。宮崎誉子は、マジでプロレタリア文学作家たろうとしているのではなかろうか。すばるのこの間の「プロレタリア文学の逆襲」という特集では…

『新潮』 2007.9 巻頭読切

たしか先月からいちいち触れてませんが、今月(10月)の文芸誌は、各誌なかなか楽しみな内容だと思います。 なかでも『新潮』の平野啓一郎の連載が増ページだったのは感涙です。 あ、あと石原慎太郎の連載がやっと終わったのも。(文學界の売上が来月から伸…

その他『新潮』連載作品について

9月号の連載は今まで触れなかったけど、相変わらず、平野作品、高村作品は、全くダレる事無く面白さキープ。 とくに高村薫についてはこの人って何なんだろうって驚嘆してます。 たんなるエンターテインメントの人だとばかり思ってて脱帽。なんかに憑かれて…

『臈(らふ)たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』第4章 大江健三郎

断っておくけど、もう最終章出ていて、これから書くのはその一つ前の章について。 それほど面白くないから、読むのを後回しにしていただけ、でして。 ストーリーは、スチール担当のスキャンダルから映画の話が流れるけど、大江氏がそれとなく好ましく想って…

『新潮』 2007.9 最新号ではありません

話は変わりますが、野性時代という雑誌の最新号で、金原ひとみが特集されてます。 巻頭はなんとグラビア。 まずはインタビュー、とかじゃなくてグラビアですよ。他の作家ではまずこんな事できないでしょう。 美しいです。化粧っ気はほどほどに抑えて、髪の色…

『Aデール』玄侑宗久

通俗的で深みを感じる人物が主人公という訳ではないが、この間の作品もふくめ、この作家の関心領域としては間違っていないと思う。病や死、老いといった一般的で具体的な恐怖を相手にしてこそ宗教だからである。 またこのような作者は、中途半端な恋愛小説や…

『ぶるうらんど』横尾忠則

これはなんなんだろう。 ここ数ヶ月読んだ中で、間違いなくもっともつまらなかった作品。便所の落書きだってもっと文学的だったりするかも。 死後の世界についてあれこれ夫婦が語るだけなのだが、死後の世界の在り様について、なにか面白い発想があるわけで…

『文學界』 2007.9 読切作品その2

今日は、いつにも増して内容のない内容です。