『心はあなたのもとに』村上龍

どんどん読み手としてテンションが下がっていく、そういう作品になってきた。
たんなる純愛ものとどこが違うか、あまり良く分からない。この成功した男が、この難病の女性に興味をもった理由はそれとなく分かるのだが、もっとより深く愛することになった理由が実感として分からない。
また、この男に関しては、いっけん鼻持ちならない奴というキャラが固まりつつある気がするのだが、この女性がよく分からない。いくら難病持ちとはいえ売春をやってたような人間なのだから、いやそういう人間でなくとも、もう少しいかがわしいような、あるいは怠惰でいいかげんなような、そういう面が描写されれば面白いのに。