『宿屋めぐり』町田康

これまでの粗筋が語られて総括されていくところなど、なんか物語りも終盤って感じがするんだけど、どうだろう。まだままだ突如として面白いフレーズが出てきたりはするけど、以前ほど筆の乗りが感じられない部分もほんの少し感じたりもして。
これもまた私が深く感得できていないだけかもしれないけど、もう少し倫理的な問いかけを、この世の通俗的な倫理と、自らの主とともにある倫理の齟齬を前面に出しても面白いと思うんだけど。
でもこれは、たんなるドタバタ劇の部分が強烈すぎるという面もあって、仕方ないのかもしれないなあ。その面白さを前面に出すのはアリだろうし。


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