『歌うクジラ』村上龍

あまり筋じたいに、ワクワクしてこないんだよね。それがあればもっといいのに、と思う。
私にとっては、たんなるデストピアSF小説の枠内のものでしかなくて。ところどころ、そのデストピアな状況が現代に対しての痛切な批判になっているところはあるけれど。
あるけれども、ひとつの想像力の問題として、ここまで悲惨な姿に人類社会がなるとまでは思えないところがあって、それがなんか自分のなかで遠い感じに繋がっている。
こういうものだったら、まだディックとか読んでいたほうが、しょうもない人間らしさが出てきたりして面白かった気がする。もうあのへんのは読む気はしないけど。