その他『新潮』連載作品について

9月号の連載は今まで触れなかったけど、相変わらず、平野作品、高村作品は、全くダレる事無く面白さキープ。
とくに高村薫についてはこの人って何なんだろうって驚嘆してます。
たんなるエンターテインメントの人だとばかり思ってて脱帽。なんかに憑かれてるんじゃないか。
平野作品は、警察の兄への疑いが簡単には晴れそうもなく、これ以上の決壊も。ワクワク。
カデナは、スパイの話に簡単に収束してしまって、なんか惰性で読んでる気分。スパイとなるきっかけもそれぞれなんかイマイチだったし。実際もそんなもんなのか?
奥泉作品は、人間がネズミ化したりしてますます混沌としてきて、多少戯画的で、戦争の現場感が薄れてきている部分が気がかり。
加賀乙彦は読まなくても別にいいんだけど、その浮世ぶりが、あれはあれでなかなかいいかもしれない。
でもあの時代を描いたものなら、言うまでもなく、『群像』の地下(地上だっけ?)生活者の方が面白い。