2010-01-23から1日間の記事一覧

『七緒のために』島本理生

やや虚言癖のある友達しか友達と呼べる存在がいない女子生徒が主人公の話。この作家の作品はあまり読んでいないのだが、私にとってはこれがベストで、少し荒くみえる記述もあったように覚えてはいるものの(長い作品なので付箋しながら読むわけではない私が…

『塔』松浦寿輝

何作目なのかよく分からないけど、松浦氏が最近折りにふれ発表する死んでない三島もの。今回はごく簡単にいうと、人目に触れない所に透明な塔を建てる話だが、確かにこんな塔があれば面白いなと思うだけで、今振り返ると最初に読んだものが一番面白かったか…

『小鳥』川上弘美

もはやこれもホモソーシャルという感じ。ただし女性同士の。 象徴的なのは、この作品に出てくる「血の繋がった父親」と、「年寄りの父親」までもが対立せず、それとなく良い関係であるところ。普通ならば一人の女性をめぐって男というのは対立するのだろうが…

新連載『わたしの彼氏』青山七恵

これを読む前に『新潮』の青山作品を読んで心証を良くしていたからだろうか。 必ずしもそうではないと言いたいくらい、これもまた楽しく読めたんだよなあ。結構これまで青山作品に対して冷ややかだった私は何故に変わってしまったのか。 先日なんとなく反省…

『群像』 2010.1 読切作品ほか

こういう事で十把一絡げに考えてしまうのは良くないことだと分かっていながら、ついつい公道上において自転車ほど危険な思いをさせる嫌なものはない、と嫌いまくっている昨今の、とくに自転車ブームなどといわれてから尚更の私ですが、むかし実は、2年間く…