『小鳥』川上弘美

もはやこれもホモソーシャルという感じ。ただし女性同士の。
象徴的なのは、この作品に出てくる「血の繋がった父親」と、「年寄りの父親」までもが対立せず、それとなく良い関係であるところ。普通ならば一人の女性をめぐって男というのは対立するのだろうが、しない。ここにもホモソーシャル
つまり女性二人と、男二人のなんとなくの絆がなんとなくの割にはやたら強力で、しかもそれだけで彼ら・彼女らは自足している。
恋愛などという、ある意味社会化された関係よりも、同性の共感のほうに傾いてしまう人達を描くという意味では、この作品もまた今日的なんだろうなあ。
しかし私にはこの作家のユーモア感覚にいまいち馴染めない。