『月の光が明るい夜』村田喜代子

田舎で近所に暮らしている、結婚まで考えているもの同士が、昔は婚外セックスが田舎では風習としてあったので、じつは血が繋がっているのかもしれない、そういう話。
昔はセックスをするのも命がけだったとか、そりゃ今の基準から考えれば、セックスに限らず何だって大変だっただろうが、それはまた生活とか習慣であって、生活・習慣であればそうでもないんだよな。だから、あまり面白みも感じない。むろん男女の浮気を生物学的に合理付ける話なぞも、そんなのは更に面白くない。いくら生物学的な理由があろうとそれによって我々は一ミリも自由にならないのだから。
この小説を読んでいるとそんな反発心ばかり芽生えてしまって、だから何?というか、肝心なのはそんな生物学的なあれこれじゃなくて、この事実を知ってしまった少女をもっと掘り下げることじゃないのかと思う。