『異郷』津村節子

作家である夫が死んでからあれこれ忙殺されていた日々も一段落し、熱海に休暇をとりにいく話。この年代の作家は、むろんそれだけの作品を残したからというのが一番の理由だろうけど、ホテルに長期滞在できるだけの金銭的余裕があるんだなあ、というのが大きな感想。それが様になる世代というか。
最後に久しぶりに聞いた編集者の声を別世界の声であると感じてしまうのには、ああそういう事ってあるよなあ、と思った。人はそれとしれず、日常に染まってしまうものだ。暫く離れて初めて気付く。