『田舎教師の告白』高村薫

エンタから外れ最近めっきり近代小説家の高村だが、田舎のレベル低めの高校教師の日常を描く。私生活でも父親を介護していたりして、つまりは鬱屈した中年(オヤジまではいかないくらいの)が出てくる。この小説は「ヤマメの虐殺」というキーワードが成功させている。しかし、こういうオチが用意されているとは。
どんなに荒れていても、それでも高校生を否定しない。「原腸が脱腸になるような脳味噌がなかったら、世界が始動しない」という文句に、いつもながらの高村作品に出てくる登場人物の生真面目さに、感動すら覚える。