2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『1000の小説とバックベアード』佐藤友哉

読みながらずっと、高橋源一郎の『さようなら、ギャングたち』のほうが、ずっと面白かったよなあ、とばかり考えていた。 小説を書くにあたりの決意表明をまわりくどく、しかし分かり易く、してみました、という感じの内容なんだけれど、ここまで膨らますから…

『秘花』瀬戸内寂聴

面白く読めるんだが、現代的な感情を、中世的な行動に当てはめるのはやはり違和感があるようなあ、と思う。

『新潮』 2006.12

またまた旧号から。

『二月』佐川光晴

よく言えば安定した、悪く言えば破綻の無い小説らしい小説。 ただこの小説からは、大学の変化を通じて時代の変容の空気が伝わってくるような気がする。

絲山秋子『エスケイプ/アブセント』

わりと注目されている作家だと思うが、私的にアウト。 だいいち、こんなふうに冷静に自己を対象化できるような新左翼くずれがいるとは思えないんだよなあ。たんなるシンパなら分からないでもないけれども、組織に居たっていうんならば。 そのへんのリアリテ…

『新潮』 2006.11

2月号が発売されるので、慌てて旧号を読み出す。正月サボりすぎた。何してたんだっけ?

野間文芸賞、同新人賞選評

文芸賞の選評というのは、私の好きなコンテンツのひとつ。反論する機会を与えることになる、と否定的な人もいるけどね。 今回は高橋源一郎が黒井千次を評しているのだが、何が言いたいのか分からないような文章を書いて、黒井氏を誉めているのかけなしている…

奥泉光VS小谷真里

奥泉氏の名前によりかかった、お互いがしゃべっていてさぞ退屈だっただろう的な対談。 小谷がくだらない事をいって、対して、奥泉氏がいくらか譲歩ぎみに話すも、空気を小谷が分からない、といったふうでイライラする。

『十二月の窓辺』津村記久子

これは面白かった! いや1月号の『群像』は収穫多かったなあ、ってまだ全部読んじゃいないんだけれど。 覚悟のうえで厳しい労働環境の会社で働いてはみたけど、様々な理不尽さに付き合いきれず辞めてしまう話。 この作者にはまずユーモアがあるよなあ、会話…

『くらげの庭』鵜飼耳

嫁入りして身重になった女性が、だんなが単身赴任することになっても、だんなの実家にいて、だんなの家族と淡い関係の生活を続ける話。 読ませる技術は確かにあるが、何も起らない感が強い。拍子抜け? くらげって必要だったんだろうか? あまりにも主人公の…

『群像』 2007.1

それにしても、もうすぐ2月号が出るというのに、今ごろになって1月号の感想を書いてる。 いつもの正月より休日は多かったはずなのだけれど、料理と掃除に時間割きすぎか?

『キャミ』平田俊子

不倫男女の女性の視点から。 ストーカーという程でもなく、月に一回別れた男性の自宅を張る、というハナシ。 暗さしかない。ユーモアも感じないし、別れた男とSMチックなことをやっていたというのもなんだかなあ。一言でいえば、もういいや、って感じ。 確か…

『未完の少年像』小川国夫

ワタクシ小説なのだろうか? よく分からないうえに、いきなり終わる。

『盗相』寺村朋輝

まずは、これ。 非常に面白く読んだ。 まだ全作読んでいないうちから、これは群像1月号のなかでの最高傑作と断言したいくらい、これがあったおかげで群像を買ってよかったと思える作品である。 たしかに新しい所は何もない。 ないけれども、現代的なテーマ…

『群像』 2007.1

まだ読み始めたばかりなのだけど、新年号ということで分厚いし、読んだものから、書いていくことにする。

『建てていい?』中島たい子

面白さからいえば、朝比奈あすかの比ではないが、どうなんだろう。 これもまた文学なのだろうか、といった感じが否めない。 今の自分の生き方、境遇に違和感があり、世になじめず、知り合いのところでなんとなく社員をやってるのだが、自分ひとりだけの一戸…

『月曜日の朝へ』朝比奈あすか

今ネットをざっと検索したところ、あまり言及がないが、それほどひどくない、むしろよく書けている作品だと感じた。 内容は、単純にいえば、プロレタリアート小説。 働くひとは、結局は良いひと、みたいな感じになっていき、学問の世界にて働く現場を知らな…

『群像』 2006.12

恐るべし、群像まで買っているワタクシよ(ちなみにすばるは買ってません)。 文学雑誌オタクですね。 でもさすがに読むのが追いつかず、今ごろ旧号を。