『芳香』青来有一

読み終わった直後は"紙の無駄"評価にしようと考えていた。まあ、そういう作品。私が考える、典型的なよくある、暗い純文学。
"ツマラナイ"にする事としたのは、この作品の後に掲載されている小説を読んだ、読んでしまったから。
あの作品よりは遥かにマシに思えたし、同じ日の評価としてアレと同列では、このあまり誰も読んでない日記上とはいえ、かわいそうな気もしたのだ。
青来有一という人の作品は読むのは初めてだが、しかし何だったんだろうこの作品は。
モテモテ初老男性の、女性遍歴の自慢話としてしか読めない。そして、どこまでも女性は男性の都合よく出来ていて、男性の幻想の枠組みからはみ出すことがない。
なんてずうずうしいんだろう。
そもそもいくら病気を患い、息子に自殺されてから人が変わったとはいえ、昔のことをこれほどまでに記憶しているような人間があそこまで女性に冷たく当たれるものか。疑問としかいいようがない。


夫婦間の会話もまったく作り物めいているし、ちょっと話をしただけで女がホイホイついて来るような、こんなモテ男の話なんか読んで大損だったなあ、と悔やんでいたら、次にはもっとすごいものが控えていたのである。