『バッツィーの嫌嫌園』加藤幸子

加藤幸子のようなやや年配の人がこういう非リアリズムの書いてるのは珍しく、それだけで応援したくなる。
今作もバッツィーの勝手ぶりはなかなか面白いのだが、あくまで記憶でいうと、前作よりそのハチャメチャぶり勝手ぶりが少なく、やや型にはまってしまった感じだろうか。これでは、ぼけかかってる老人の振る舞いそのままであり、嫌嫌園は老人ホームそのものだろう。
となると、ボケかかってる人を人間ではないものとして描いてしまってるわけで、そういう意味ではなかなか危ない小説という事になる。今の日本には、あちこちバッツィーみたいな生物がいるわけだ。嫌嫌園になんとか住んでもらおうと四苦八苦する下りはなかなか面白い。
だからこそ、勝手ぶりが抑制されている所が少し残念で、これでは現実をそのまま当てはめているだけかなあ、主人公の愛憎を剥き出しにさせるくらいもっとぶっ飛んだりしてくれれば、と思いながら読み終わっていた。