『鹿の目』吉村萬壱

やや緩和されてはいるがいつもの芸風という感じ。露悪的なエロというか。女が鹿の目をしているというが、尋常ではない事が目で分かる場合というのが人間には時にある事は確かではあるものの、読んでいて身に迫るようなリアリティがほとんど感じられない。ようするに他人の本質的な他者であることの恐さというものが出ていないのだ。
また、禿げに関してはそれほどでもないものの、ネタとして五郎というのはちょっとハズした感じ。
唯一面白かったのが、台所で立ったまま食事をするというあたり。これは学生時代はたまにやっていた。味見をしながらこのまま食べちゃえみたいな。