『無駄のきわみ』クレア・ワトキンス

高原氏の作品を一番面白かったと先走って書いたが、この作品も負けていない。キリスト教的なのか、アメリカの田舎的なのか分からないが、アメリカの中西部などでみられがちな、あの裏表のない善良さと、それがあまりに善良すぎてかえって悪意に見えてくるという微妙な他者の表情が見事に描かれている。表情とはいっても、手紙だけで構成された小説なのだが、優れたサスペンス映画をみているかのようで、思わずそう表現してしまった。