2011-08-22から1日間の記事一覧

連載終了『空に梯子』角田光代

どうして面白いと思っている連載ばかり早く終わってしまうのだろうと思ってしまうが、仕方ない。毎月楽しみを頂いて感謝である。 仙太郎との最後までつづく緊張感のある関係とその変遷が中心で、それだけでも面白いのに、バブル末期のころの世相を描いた部分…

こちらあみ子(一部掲載)/今村夏子

一部掲載なので、その一部しか読んでいない。だからほんらい評価不能なのだが、これだけでも残りはまずは面白いんじゃないかと思わせる。 「あみ子」が魅力的だという声がけっこうあって、まあ確かになんだけれど、通学路で「兄」が友人たちから隠れようとす…

『さまよう/助けになる』ブライアン・エヴンソン

どっちの話も面白いなあ。 「さまよう」では、困難であればあるほど信仰が深まってしまうという、本来幸福であろうとする信仰が逆に困難を求めてしまう様を描いていて、そこから離脱する人もふくめて真に迫っている。人間は、傍からみればなんともヘンな生き…

『犬』稲葉真弓

わっざわざ擬人化して捨て犬に境遇を語らせているが、ひとつもココロ動かない。捨てられたペットなんかより、若い女子がいや〜ムシがいるとか言って害も無いのに殺虫剤や洗剤をばんばん振りかけたりしているのをみると、かわいそうだなと思うときもあるけど…

『馬たちよ、それでも光は無垢で』古川日出男

評価の難しい作品。というのはまず第一にこの作家の東北を舞台にした作品をまったく読んでいないからで、読んでいないと実感できにくい場面がある。たとえば、自分の名前の頭文字とその小説を英題におきかえたものが一致していた、とか驚かれても、はぁ・・・・・…

『不愉快な本の続編』絲山秋子

新潮のこの号の救いがこの作品。地方都市に暮らす若い男性が主人公の話で、そういう部分だけとってみれば「ばかもの」に似たテイストもまったく感じないわけでなく、あの作品から絲山作品にはまりっぱなしの私としては、嬉しさも感じつつ読んだ。と同時に、…

『哲学の起源』柄谷行人

マルクスからカントへいって、今度はギリシアかあ。柄谷のなかではどんどん根源的になっているつもりなのかもしれないが、『世界史の構造』も読んでいない傍の傍からみると後退しているかのような。 副題に「国家や共同体に回収されない」云々とあるので、昨…

『新潮』 2011.7 読切作品ほか

以前「廃品回収車を回収せよ!」という名言がありましたが、洗濯物を干していたら「冷蔵庫、洗濯機、壊れて映らないテレビ、音がでない〜」と放送しながら、50キロくらいのスピードで駆け抜けていく一台の荷台クルマ。よほど急用でもあったのでしょうが、…