連載終了『空に梯子』角田光代

どうして面白いと思っている連載ばかり早く終わってしまうのだろうと思ってしまうが、仕方ない。毎月楽しみを頂いて感謝である。
仙太郎との最後までつづく緊張感のある関係とその変遷が中心で、それだけでも面白いのに、バブル末期のころの世相を描いた部分が共感を覚えるところがありしんみり良かったし、編集者や、同業の作家と主人公とのやりとりも、どうしても同じ作家が主人公なだけに、リアルさを感じて面白かった。
中心に描かれた、オトコの女性への嫉妬というのは、あーありうるなあ、と読ませるものだった。これ、自尊心が絡むからやっかいなんだよね。もちろん男も最初からオトコではなくじょじょに社会的にオトコ化されるわけだから、いくらかは本人のせきにんじゃないんだろうけれど。最初から諦めがつくほど才能無ければいいのに、似たような仕事をしているばあい、なまじあるから、より酷くなるんだろう。
同じ作家が主人公ということでいえば、書くということにじょじょに目覚めていく様をみて、やはり職業作家というものの業というものを見た感じがする。よほどの人でないとできないことであると。
そして作家というのは格別頭の良い人種で、それ自体は間違いじゃないんだけど、ときに書くことに疾走しているとき、仙太郎のあえぎも感じ取れないくらい、彼が徐々に売れなくなっているのに気づけないくらいになってしまう。まさしく業で、そのくらいでないと続けられないのかもしれない、とも思ったものだ。