こちらあみ子(一部掲載)/今村夏子

一部掲載なので、その一部しか読んでいない。だからほんらい評価不能なのだが、これだけでも残りはまずは面白いんじゃないかと思わせる。
「あみ子」が魅力的だという声がけっこうあって、まあ確かになんだけれど、通学路で「兄」が友人たちから隠れようとするシーンが、何かハっと思わせるところがある。いっけんおバカな行動ばかりしている兄のようにみえて、もうすでに半分社会化されているのだ。自尊心めいたものを育てている。
そのいっぽうで、あみ子が兄の不良化には中間がなかったという回想も非常に実感としてわかるもの。これらを「物語」として書ける才能は相当なんじゃないか。
「みみず」
「トランシ〜バ〜」
あみ子しかしゃべらない会話のこの部分が大好きだ。