『うどん屋のジェンダー、またはコルネさん』津村記久子

人気うどん店で、女性というだけで、ぞんざいに扱われない事に却っていらだってしまう女性の話。
小説自体の評価とはべつに最初からいきなりひっかかるのだが、こういう所で納得できないともうなんかすんなり楽しんで読めないんだな。不思議と。
それはつまり「卵かけごはん」と「ぶっかけうどん」を比べているのだが、これは不当だろう。ごはんだって、大根おろしとねぎとしょうがとゴマまで用意すればそれは美味しい食事として成立するし、卵かけゴハンと比べるなら、うどんも卵と醤油だけにしなければ比べられない。また、汁うどんならともかく、うどんのみを食うような食事は、例え油を使っていなくても、まさしくメタボ食事だ。私は、食パンにジャムばかり食っていて、肝臓の数値がおかしくなった女性を知っている。炭水化物のみは最悪ということ。
それと、一ヶ月に一回しか、しかも客として行く男性が覚えているという事はコルネさんという人は相当な頻度で行く客であって、そういう客を、店側が覚えていない、あるいは覚えていても「あんたこの店初めて」と毎度尋ねるなんて事があるんだろうか?
私は、こういう人気麺類店というものを殆ど知らないから、あるのかもしれないし、当然作者も分かっていて書いているのだろう。つまりは、そのような余りにも不自然な出来事、人気うどん店のワケの分からなさを面白い題材として小説化したという事なのだろうが、私にはどうも不自然すぎ。