『鰯を買う』小山田浩子

新潮新人賞を絶賛した自分の目は間違っていなかったと、嬉しくなるエッセイで、「群像掲載限定エッセイ大賞」は今年はこれだろうな。顛末の盛り上げ方がうまく、落とし方が効いている。最後の一行でこれだけ、あっ、ははっとさせてしまうものはあまりない。
しかしスーパーの利用の仕方といい、回り始めると回るものというくだりなど、台所を預かるものとして非常に分かるなあ。わたしも近所のスーパー数店のそれぞれ野菜の日はきちんと押さえているし。
で、小山田氏にいっておきたいのだが、鰯のような小型の魚は賞味期限が多少先であっても買ってきたその日に頭と内臓と血は落としておいた方がいいし(あくまで時間があれば)、ひき肉は賞味期限多少過ぎて変色してもそれほど気になりませんよ、と。魚は鮮度が大事で肉は腐りかけが旨いと巷間いわれるのは、いわれるだけあって正しい。
というか、賞味期限よりも気にすべきなのは臭い。ダメになったひき肉はあきらかに、あ、これ変だぞという異臭がするので。実は、一度そういう事があって、あれ?なんか変なにおい、でも今日が賞味期限だしねー、金払った自分の負け認めたくないしー多少熱々に炒めれば平気平気と腹を壊したことがあるのだ。