2011-04-17から1日間の記事一覧

『カラジッチと三島由紀夫』三輪太郎

日本では有名ではないかもしれないが、国際的にはユーゴ(ボスニア)紛争で有名なカラジッチが文学に造詣が深いとはこれを読むまで知らなかったが、あまり驚かない。 ところで、むかしユーゴ紛争に関するドキュメンタリー(計6時間くらい)を見た記憶がある…

『鰯を買う』小山田浩子

新潮新人賞を絶賛した自分の目は間違っていなかったと、嬉しくなるエッセイで、「群像掲載限定エッセイ大賞」は今年はこれだろうな。顛末の盛り上げ方がうまく、落とし方が効いている。最後の一行でこれだけ、あっ、ははっとさせてしまうものはあまりない。 …

『時雨のように』古井由吉

名も無き一組の男女。交わされる会話と記憶。顔の記憶。表情。音。とおくで囁く声。と、まあいつもながらの古井作品です。 その日その日をおのずからただ生きて、測るはせいぜい一ヵ月後くらい、そしてふと今をみるとその場所が、想像どおりであるような、全…

『距離、必需品』岡田利規

ダンサーとして世界中のあちこちで公演をしている「彼」が日本へ帰ってきて、その妻である「わたし」と過ごす一日みたいな内容で、とりあえずその内容には、とりたてて深い内省があるわけでもなく、みるべきものは何もない。この「わたし」の考えている内容…

『私のいない高校』青木淳悟

クソ、とうとう私も青木が出し続けた毒が回ってしまったか、と、この評価をするに際して少し悔しさも感じたんだが、仕方ない。未だに真の理由が分かっていないのかもしれないが、なぜか面白いんだから。 気を取り直しつつ少し客観寄りにいうと、こんな小説読…

『群像』 2011.2 読切作品ほか

群像の最新号を手に入れたんですけど、さっそく地震について語られた文章が載っています。 とりあえずそれら全て読んだんですが、今回の事象にたいしてこんなにも自分が言葉を欲していたんだな、と呆れるばかりです。まあテレビとかで「勇気を与えたい」とか…