2010-02-24から1日間の記事一覧

連載再開『路』吉田修一

何ヶ月も連載中断して、なんの「これまでのあらすじ」も記さずに掲載するって、なんて乱暴な。これだけ出版危機が叫ばれての、この読者目線の無さは絶望的な気分にさせるね。

エッセイ『世界の文学のエッセンス、俳句』夏石番矢

恐らく軽い気持ちで書いたのだろうから、非難するというのではないが、このエッセイもひっかかったなあ。 だって自分は純粋な日本人と感じることは、浮世絵や俳句を古臭いと感じることとイコールなんだからね。それが近代ってやつだから。いいかえれば、浮世…

『アウトサイドレビュー』前田司郎

ちょっとまえも文學界の編集部には別の件で文句いったが、このエッセイ読んで面白いと思った人がいるのかなあ、編集部に。 小説ばかり読んでいる読者に息抜きの意味もこめて、何か小説以外をレビューしてもらうというコーナーなのに、レビュー以前の「アウト…

『日々のきのこ』高原英理

人数をよく覚えていないのだが、二人?三人?の主観を交互に配置して、現実に存在しない想像のきのこを創造して登場させる、非リアリズム小説。作者が作り出したきのこが面白いなあと思えばこの小説の面白みもさらに増すのだろうが、そうでなければ、とくに…

『うどん屋のジェンダー、またはコルネさん』津村記久子

人気うどん店で、女性というだけで、ぞんざいに扱われない事に却っていらだってしまう女性の話。 小説自体の評価とはべつに最初からいきなりひっかかるのだが、こういう所で納得できないともうなんかすんなり楽しんで読めないんだな。不思議と。 それはつま…

『ファビアンの家の思い出』青山七恵

一読して思ったのは、不思議な小説だ、ということ。しかしどこがと言われると、まったく答えられない。 日本の青年が外国(スイス)を旅してくる話なのだが、主人公は現地で案内してくれる友達に頼るばかりで英語すら殆どできない。当然現地の人とのコミュニ…

『てんてんはんそく』多和田葉子

最初のほうの「浮かび上がってくる肌」というのから、なんかこの喩えは、パソコンの画面の事を言ってるのかと思い、では他の部分に関してはインターネットのプロバイダの対応(ISDNから光、少なくともADSLに換えましょう)のことなのかな? とにかく…

『報告』黒井千次

入院した主人公が、運動不足が寝不足につながっているかもしれないと入院棟のなかを歩き回る話なのだが、他の登場人物の話し言葉を「」ではなく棒引っ張って(つまりこんなふうに −○○ですか)、地の文のように記述している。確かにこうするといかにも小説的…

『文學界』 2010.2 読切作品ほか

スクエニとかバンナムが人員削減という話を耳にしましたが、ゲーム業界も厳しいみたいですね。音楽だの本だののソフトのコンテンツ生産の業界はどこも駄目みたいです。 バブル崩壊後一番もてはやされたセクションなんですけどね、私の記憶では。もう革新的な…