『報告』黒井千次

入院した主人公が、運動不足が寝不足につながっているかもしれないと入院棟のなかを歩き回る話なのだが、他の登場人物の話し言葉を「」ではなく棒引っ張って(つまりこんなふうに −○○ですか)、地の文のように記述している。確かにこうするといかにも小説的空間がでてくるのだが、新潮に載った最近の作品からみると、私にとってはなんかありがちな純文学空間に戻ってしまった感じ。