『宿屋めぐり』町田康

なんだ結局これがいちばん面白かったとは。


そもそも町田康はずっと敬遠していて、なぜかというと、辻仁成っていう町田と同じようにロックから文学っていう人がいて、当然大嫌いで、その活動スタイルから作品の題名に至るまで全てが大嫌いで、あまりにキライなので、町田康を見る目まで偏らせてしまっていたのである。ミュージシャン?だめなんじゃないの?ロックから来たってだけで珍重されてるだけじゃないの、という感じで。
しかしよく考えてみれば、辻のエコーズは何度か聴いたことはあってハッキリ嫌だったのだが、町田町蔵なんて聴いたこともなかったわけで、まさしく偏見だった。


ときどき擬音語や強調箇所の繰り返しの表現などに、文章を工夫した感じが残るところはあるが、それでも思わず笑えるところが毎回一度はあって、これはなかなか楽しめる作品。
とくに主が制裁するところで、ある人物の目玉くり貫いて蝋燭たててタコ焼きを焼くところは笑ったなあ。