2009-01-22から1日間の記事一覧

『随想』蓮見重彦

(「見」と「彦」の字体がコンピューターでは表示されないのでご勘弁を。) 内田樹を強烈に皮肉ってるのだが、これだけを読む限りは蓮実の圧勝という感じで小気味良い。内田ってこんな下らない事をブログで書いてたのか!と思うもん。 蓮実氏は、ノーベル文…

『二倍』町田康

この世界はどこかニセモノなんじゃないかという町田らしいモチーフなのだが。たんに面白くない事もふくめてあまり感心しなかった。 たしかにこういうベンチャーキャピタル的なビジネスというのは、資本主義がいきついた果ての果てであって、「ニセモノ」の最…

『虫王』辻原登

こんな小品といえる作品でもこの作家は人をうならせる。描写は簡潔にしてしかし情景の喚起力があり鮮やか、華があるところにはあり、寂れは寂れている。主人公の溜められた鬱屈、それを描かず、意識ではそれがオモテに出ないくらい虫の戦いに熱中するかのよ…

『山姥』瀬戸内寂聴

都会で敗れ去って田舎で新聞配達をしている中年男性が、自分と同じようにアウトサイダーにみえるひとり暮らしの老女に親近感を抱いてしまう話。都会での過去の男女関係の話ででてくる人物がそれぞれすこしばかり古臭いのは致し方ないとしても、最後に老女が…

『その部屋』河野多恵子

中老年の女性が大きな都会のマンションで経験した四方山話。でかいマンションなので偶然つながりのある入居者がいたり自殺があったり。 そういうつながりのひとつで、マンションを意気揚々と改築した美人の中年女性の部屋に案内されたりするのだが、その後地…

『aer』川上弘美

子供が生まれることを文学的に表現してみました、という作品。子供というものがとても自然である様と、自分にとって不自然なモノとしてしか思えない様が描かれるのだが、前者の比重が大きい。「なんか自分はどうぶつなのだ」みたいな。たしかにそれは分かる…

『現な像』杉本博司

たまに面白い事が書いてあって(古物商でも武器などを扱うとこと美術品中心のところでは交流がないとか)、目を通す程度のこの連載だったが、最終回でちょっと見逃せない記述があった。 冒頭から「戦争とは国際法で公に戦い方のルールが定められている」のは…

『新潮』 12、1月号拾遺 

ところで、先日ここに記事書いた日って芥川賞の選考会の日だったんですね。後から気付きました。 こんなブログやってそんなもんかよ、と思われそうですが、じっさい私は業界の人間でもなんでもないのでたいてい文学賞の事なんか忘れていて、NY市場の株価と…