2012-08-19から1日間の記事一覧

『ライ麦畑でつかまえてくれ』佐藤友哉

編集側と行き違いみたいなことがあって以降、戦後文学の再読という当初の目論見とはちがって、とくに震災があって以降は、なんか愚痴というか好きなことしか書いてないような感じだったけど、だからこそ楽しませてくれた部分があったように思う。お疲れ様で…

『日本文学盛衰史 戦後文学篇 最終回』高橋源一郎

またここでアルバートアイラーかよ、とウンザリする。なんで小説家はこういうときアルバートアイラーなんだろう。たしかに何であんなものが持ち上げられていたんだろうという意味で、アイラーというのは格好の素材なのかもしれないが、他殺説も出ているとか…

『旅人』長嶋有

長嶋流ユーモアがいまいちピンとこなくて面白さを感じ取れなかった回もあったが、今回は、故人の意思なるものがその死後どう扱われるかということについて、分かるなあその感じ、というところがあった。自分が死んだ後は適当にしてというひとに立派な戒名が…

『/Y』長野まゆみ

どういうつながりで連作となっているのか2作目でもまだ分かってないが、ようするにあまり記憶に残らないんだなあ。この人の作品は読んでいるあいだは、きっちり整った上手い語りだなあ、きっと切れる人なんだろうなあとか思ったりするものの、自らに引き付…

『グッバイ、こおろぎ君。』藤崎和男

まず最初に書いておきたいのは、空間の描写がすごく分かり辛いということ。ひとつ例をあげると、トイレでコオロギを発見して彼がしかしにっちもさっちもいかなかったときなど、どういう体勢なのか、どうして体が動かし辛いのかがつかめない。 また、主人公を…

『泡をたたき割る人魚は』片瀬チヲル

島だとか泉だとかビタニィという飲み物だとか、そこそこ魅力ある世界を現出させていて、また他の掲載作との比較でこういう評価となったが、われながら甘いと思う。なぜって、複数の男のあいだで揺れ動く若い女性が主人公なんだが、制度とか、あるいは「たっ…

『架空列車』岡本学

「新人」の人に厳しいことを書くのは気が引けるのだが、意を決して。選考委員の幾人かが高評価をしているのが全く信じがたいがほどに、私はこの小説に終始乗れなかった(列車のはなしなので「乗れなかった」と表現してみたわけだが)。とくに評価のポイント…

『群像』 2012.6 読切作品ほか

山の近くにいって眺めるたびに、海より山が圧倒的に好き、と思ってしまうのですが、引き合いに出される海はかわいそうですね。 そういえば、野田さんが反原発デモの人たちと面会するとか言う話はどうなったんでしょうか。 枝野さんが「不公平じゃないのそれ…