2012-06-19から1日間の記事一覧

『テレヴィジョン、国の麻薬 無知を育て、放射能食わせる』モブ・ノリオ

まあ実際は紙の無駄に分類すべきものだが、図書館で借りたもので関係者に失礼だし、こんなものでも載せてしまう「文學界」はなんて懐深いんだろうなあ、と感じさせたという意味で、それなりの意義はあったのかも。 この国のテレビがアイドルグループの総選挙…

『春寒』馳平啓樹

ついこの間新人賞受賞したひとで短期間でこれだけの作品を書けたのならすごいなあ、と思う。というか、新人賞受賞作よりぜんぜんこちらのほうが主人公の体温というか息遣いが伝わってきて、良いんだが。作者にとってより近い、不可分といってもいいくらい近…

『窓の幽霊』田山朔美

んー。誰かが殺鼠剤を使って主人公が面倒見ている野良猫を殺そうとしているようだ、というあたりまでは面白く読めたのだけれど。 熟年離婚寸前というような状態にある高齢の主婦が主人公の小説なんだけど、ほんのちょっとしたきっかけでダンナだってそう悪い…

『原子海岸』村田喜代子

以前おなじ「文學界」に掲載された、ガンの最先端の放射線治療にまつわるあれこれを描いた小説の続き。というか、登場人物に、この治療が原子力発電所となんの関係もないと思わせ安心させちゃってるような展開は、はっきりいってこれじゃ後退だ。そりゃ直接…

『鼻の虫』多和田葉子

人間の鼻のなかに寄生する極めて極めて小さい虫の話から入る。健康なひとでもその皮膚には様々な寄生虫がいてというのを耳にしたことがあり、「鼻の虫」というものがいてもおかしくはないが、途中から話は多和田らしい非リアリズムに傾く。生の実感を喪失し…

『雪の夜ばなし』辻井喬

期待していなかったが思ったとおり。樺太で集団自決したと思われていた女性が実は生きていてその人がいまやっと明かす己の人生、みたいな内容で、イントロではその人が語ったテープがどうのこうのともったいぶった小説的仕掛けがなされているが、この程度の…

『文學界』 2012.2 読切作品ほか

渋谷だのお台場だの相変わらず新しい商業施設ができてるらしいですが、気がついたら最近、ダイソーとヤオコーとサンワしか行ってません。 というのは極端で、よくよく思い出したら、「業務スーパー」とか「カルディ」、「キャンドゥ」、「イオン」などにもご…