『原子海岸』村田喜代子

以前おなじ「文學界」に掲載された、ガンの最先端の放射線治療にまつわるあれこれを描いた小説の続き。というか、登場人物に、この治療が原子力発電所となんの関係もないと思わせ安心させちゃってるような展開は、はっきりいってこれじゃ後退だ。そりゃ直接は関係ないに決まっているんだけど、モダン科学のひとつの展開形という大きな意味では一緒だということ。それにたいする複雑な感情が読みどころだったのに晴れ晴れされてもなあ。