2011-09-02から1日間の記事一覧

『わたしの中の原発』堀川惠子

真摯さが伝わってくるエッセイで、主旨そのものに文句をいうつもりはさらさらないのだが、2点。 被災地支援のレタス100円に人がいないのは、地域にもよるとは思うが、あくまで関東の人間から言わせてもらえば少しばかり高いからである。足しげくスーパー…

『言葉が無力になったとき』熊谷達也

「小説に存在する意味があるとするならあくまでも平時の暇つぶしでしかない」とか言うなら、「誰もが言葉を失っているときにあえて言葉を発するべきじゃないのか」とか(たとえその結論に至る途中だとはいえ)書くなよな、と思う。とんでもない八つ当たり。 …

『青空』岡崎祥久

素晴らしいなあ。この作品がなかったらボロボロともいえた群像だが、この作品だけでも買ってよかったと思える。 まず冒頭の一行がいい。「すべての逆境に出口が用意されているわけではない」。マジックにかかったかのように、ここから読み進められる一行だと…

『あめよび』原田ひ香

完全にダメとは言い切れない、また不思議な感じの作品を届けてくれたなあ、という感じ。これまでの彼女のほかの作品(の一部)のように、「お話」に人間が従属物になっているというような気配はそれほど強くない。しかしそれでも得心いかないものが残るのも…

『ぱんぱんぱん』丹下健太

群像が一年に一回くらいやる新鋭作家特集などにでもうってつけに思える作品。小学校の教室に鶏が迷い込むエピソードとからめて、その鶏を引き取ることになる少年の背後にあるオトナの世界の複雑さの存在をを、直接描かずにうまく浮かび上がらせている。読者…

『道化師の蝶』円城塔

今まで読んだこの作家の作品のなかでは一番楽しめたかもしれない。それでも冒頭から暫くはため息が出てしまうようなスベリ方が続いてどうなることかと思ったものだ。具体的には「乳児向け満漢全席」だとか「高校への坂道で読むに限る」とかのところ。論理的…

『超人』伊坂幸太郎

前作『PK』のつまらなさも記憶に新しいなか、今度はいくらかマシかと思えばたんなる姉妹編的作品でした、というオチ。サッカーだとか大臣だとか落ちてきた子供がどうだとか、前回と部分的にダブるような話が展開されて、で、前回あった時代考証がなんかお…

『群像』 2011.7 読切作品ほか

冷蔵庫のなかを整理していたら半年以上前に買ったこんにゃくを発見したのですが、水に溶け込んでしまってました。3個入りだったため真水に入れ替えて保存したのが悪かったせいなんでしょうか。 ヴァンダレイ・シウバが無残に負けたのをついこの間目にしてい…