2011-08-07から1日間の記事一覧

『新年』日和聡子

小説の構造としてはよく書けていると思う。それに雪景色のまばゆい白さとか、冷え込みとかも読んでいて迫ってくるものもある。 ひょっとして夢オチか?幽霊オチか?とタクシーを動物が運転する記述あたりで気づいてしまった聡明な人もいるかもしれないが、鈍…

『ビールの話』chori

あるオトコと、嘘くさいオンナとの嘘くさい友情めいたもの、の話。こういうの癒し系?っていうの? 接吻までしておいて記憶にあまり引っかかってなかったとかそんな事が書いてある所でこの小説の評価が決定的に下された。 ポストモダンについて熱く語るよう…

『ちたちた』野村喜和夫

作者の名前には見覚えがあって、金子光晴がどーのこーのというこの上なく興味のもてない連載を同じ「すばる」でやっていた人ではなかったか。だから全く期待していなかったのだが、これが面白い。「すばる」にもこんな面白いものが載るんだなあ、久しぶりだ…

『アマリリスの家』朝比奈あすか

もういいですと思われるかもしれないが、朝比奈氏の作品は事情があって心情的にシカト出来ないのであった。 今回も自立しようと、というか自立と自ら思えるような所をなんとか探そうとひとり奮闘する女性の話。ネイルアーティストをやっていて、そのポジショ…

『Metamorphosis』奥泉光

「すばる」に奥泉氏がジャズの小説を書き始めたとき、日本人JAZZメン列伝みたいなシリーズになるかと思っていたのだが、結局この"イモナベ"さんしか記憶に残っていない。 私も日本人のジャズメン全て知り尽くしている訳ではないけど、もちろん虚構でこん…

『すばる』 2011.4 読切作品

台所を掃除・整理整頓したときに、すっかりしけってしまった煎餅をたまたま日当たりの良い所に置きっぱなしにしてしまったのですが、パリパリ感が復活しました。 ところで今年は冷夏の部類ですね、これは。 電力的にはまさしく不幸中の幸いでしょうか。私も…