2008-10-18から1日間の記事一覧

『太陽を曳く馬』高村薫

やはりこの作品にはやはり言及せざるを得ないだろう。もはや推理小説的なものから遠く離れ何一つ解決していない完結なのに この素晴らしさ。福澤はけっきょくどうなるの、でもこのまま放置でも良い、みたいな。 ときに絵画論もあり、古代宗教から近代哲学ま…

『カデナ』池澤夏樹

悪印象しかなかった911テロの陰謀論いらい池澤夏樹のことを信頼しづらいのだが、今回も結局はどうせ反米的な小説だろうなあという先入観がどうしても拭い去りがたく、なかなかこの小説に入り込み辛くはあった。ただそういう個人的な理由から離れても一般…

『ダグラス・サークの教え』四方田犬彦

この人の博識はすごいなと思うが今回は映画シロウトにとってあまりにマニアック。四方田さんのは、面白い回とそうでない回との落差が激しい。

『連続するコラム(20) 鹿野武一をめぐって』山城むつみ

なぜ完結するのか事情はよく分からないが、新潮の評論のなかで山城さんのものがいつも一番面白かったように思う。ただ今回はむしろ題名的に「石原吉郎の潤色をめぐって」にしたほうがより人目をひいたのではないか。 大空襲や原爆体験やオキナワにくらべて、…

『資料の読み方』鳥居民

大正天皇の皇后つまり昭和天皇の母への評価(というか史実)をめぐる原武史批判である。こういう問題意識はまったくなかったがなかなか面白い。だから野次馬的興味しかないのかもしれなくて恐縮だが、ぜひ新潮には原氏にもなんか書かせるべきである。でコメ…

『あるいは反共同体的共同体の声――大江健三郎と中上健次』小林敏明

なんとも堅苦しくてオーソドックスな評論。大江には興味があるが中上に対してはほとんど興味のない私が、中上を読んでみようという気にはやはりならなかった。 ところで中上はアルバートアイラーの事が好きなのは知っていたが、コルトレーンも好きなのは初め…

『ファントム、クォンタム』東浩紀

ただでさえ錯綜した話なのに、2ヶ月おきじゃ内容覚えてないって。新潮編集部さん・・・・・・。結局最新作を読むためには前回を読まなきゃよく分からなくなっていて、なんか時間の無駄なかんじ。 完結してそのとき気が向いたらまた最初から読んでみようかとも思う…

『妖談』車谷長吉

実話だかなんだか良く分からないが、3題の小話を淡々と描写。この人はより大きなスパンで物事を捉えるせいなのか、物事に拘泥する人物を描きながらもどこか乾いた風情なのがいいのかもしれない。しかし私にとってはただそれだけで、暇なときでないと読まな…

『新潮』 2008.10 続き

そういえば先日、ある私鉄の裏道の信号のない交差点で女子高生を轢きそうになりました。だっていきなり自転車で非優先道路(止まれの白線があるほう)から普通のスピードで突っ込んでくるんですから。 それでも自転車×バイクだったらバイクの負けなんです。 …