『あるいは反共同体的共同体の声――大江健三郎と中上健次』小林敏明

なんとも堅苦しくてオーソドックスな評論。大江には興味があるが中上に対してはほとんど興味のない私が、中上を読んでみようという気にはやはりならなかった。
ところで中上はアルバートアイラーの事が好きなのは知っていたが、コルトレーンも好きなのは初めて知った。
場当たり的な騒音としか思えないアイラーと、破壊的でありながら音楽的な豊かさを両立しえたコルトレーンをよく同時に好きでいられるなあ、と不思議に思う。コルトレーンには歌声があるのだ誰がなんと言おうと。そしてサックスの硬質な音色に対する拘りも並大抵じゃないと思う。といっても晩年のそれではなくジャイアントステップスが私のいうコルトレーンなんだけども。