2012-06-30から1日間の記事一覧

『笑う母』森内俊雄

母と母。実の母と、妻の母の過去を振り返る話で、かなり自伝的要素が強そう。私小説という分量もなく、総括的に振り返ろうとしたせいか、断片の記述ばかりであまり残念ながら記憶に残ってくれそうにない。読んでいるあいだ面白いだけでも充分といえばそうな…

『癒しの豆スープ』よしもとばなな

なんも特別な材料を入れていないスープのせいで病気がよくなったとかの話からはじまるが、そういうのは気の持ちようというか、民間療法なんかでそういうふうにして「治った」という例も無数にあるわけで、こういうのまでまたオカルトかよ、と片付けてしまう…

『ひらいて』綿矢りさ

どっかの写真家の写真が載ったり、ヒップホップ云々の連載がいつまでも終わらなかったり、連載も先細り感があって、「新潮」は、こりゃもう買わないかなと思い始めてから、柴崎友香の、それまでの作風を更改するような大作が載ったりして、そしてこの作品で…

『窓の内』古井由吉

これまでの似たような長さの連作にくらべて、話があっち飛んだりこっち飛んだりという印象をもった。 過去に人を殺めたことがある人のその表情のなかに、長い時間かけて、殺められた人の表情が入り込んでくる、などといういかにも古井作品らしい話がでてきた…

『新潮』 2012.5 読切作品

相変わらず古内東子と最近はチャーリーパーカーを聴いています。この組み合わせで毎日を過ごす人ってどれくらい世にいるんでしょうか? ジャージとか肌着とか仕事着を除いて、カジュアル着といえば殆ど古着で済ませているのですが、それはたんに安いからで、…