2011-10-13から1日間の記事一覧

『【討議】いま始まる生存と創造』石川直樹+岡田利規+坂口恭平

小説は実験臭が強く、いまひとつ好きになれない岡田利規だが、すげーオトナの発言をしていて正直驚き、そして感動すら覚えた。 もう格差社会と言われて何年もたっていて、で、スマップの歌みたいに皆がそれぞれが花を咲かせればみたいな認識こそが一番の癌で…

『温室で』ブライアン・エヴンソン

前回読んだのを含めて言うと、この作家はいっけん全く作風が違うような作品なのに、それぞれが素晴らしいという、なかなかありえないことだなあ、と。この作品は少しサスペンス風で最初から引き込まれる。ラスト近くの「コックを忘れちゃいけない」という台…

『良い夜を持っている』円城塔

前作から少し評価しだしたのだが、どんどん良くなっている。というかこんな言い方は失礼で、実際は、読み手のほうの私がやっとこさこの作家の面白さを理解し始めたというのが正しいのだろうけれど。 この作家は「叔父」だとか「友幸友幸」だとか、思考実験の…

『その日東京駅五時二十五分発』西川美和

リアリズム。過去の回想がけっこうな分量で入るから、厳密には「一日の小説」とは言いがたく、しかしだからこそ面白くも読め、こちらの方が上記作品の分量であったらな、とも思う。終戦間際の日本兵たちを描いたというものでは最近『逸見(ヘミ)小学校』(…

『ある一日』いしいしんじ

とくにひどいとか引っかかる記述だな、というのは無い。だがしかし退屈極まる。(ってこの表現は、似たようなこと間宮緑作品のときも言ったか。) まさに題名どおりある一日なんだが、この出来事の量でこの長さはきついです。 ある夫婦−自然分娩での出産を行…

『新潮』 2011.9 読切作品

コーヒーメーカーにコーヒー豆を入れずにスイッチを入れ白湯を作ったという話はよく聞くのですが、私はインスタントコーヒーの粉を入れたことがあります。 原発事故の後だしジャンケン的なものはたいていのものは慣れた気がしますが、実は原発がなくても電力…