2011-03-02から1日間の記事一覧

『雪景色老梅花』近藤勲公

もてまくっている老人が主人公。笑顔を絶やさない老妻が居ながら、なまめかしい色香漂う未亡人に迫られる。なんともうらやましいですなあ。 ていうか、なんだこりゃ。借りてきたものに[紙の無駄]は失礼だからしないけど。 白い色鉛筆で書いたものを消す、と…

『マグニチュード』円城塔

はいはい毎度科学薀蓄ありがとう、といいたくなるが、今回の特集で最も想像力の貧しさを感じさせるこの作品がもっとも近く2030年を占っているのかもしれないね。 しかし改めて、読みきれない小説だとか自動スクリプト?だとかそんなものが存在したり、あ…

『たなごころ』楊逸

携帯やネットにこもる現代人を皮肉るにしては、あまりに古典的でストレートな小説。これじゃたんなる反機械のヒューマニズム。

『コップ2030』吉村萬壱

対立の無いところに対立を、緊張のないところに緊張を。としかいえないようなこの人の小説に出てくる登場人物のありかたは、この作家を支持させるに充分である。親子を対立させるためにやってきたイエスのように。ただ今作は前半は緊張感があってよかったが…

『何が俺をそうさせたか』星野智幸

『俺俺』は面白くて且つ力作、大型電気店の仕事などもよく取材してあって今もって傑作のひとつだと思う。だからこの作家にあれこれ注文したくない気持ちが先に立つ。がしかし。この小説のような手法、つまり現実を部分的にデフォルメしたりして、現実相似の…

『自然に、とてもスムーズに』綿矢りさ

さてこの小説について何を言えば良いのやら。前作では今作と同じく読みやすくも、「いち」とか「に」とかいって、それなりに小説的な遊びというか意匠があったが、今作はそれもなくなった。なんかすごく普通になったように見えてしまう。 この事がメタに題名…

『文學界』 2011.1 読切作品

実は文芸誌で今いちばん好きな連載は角田光代さんの「新潮」のやつで、これだけは今まで連載した分のあと4倍くらいは続いて欲しいと思っているのですが、さてどうでしょうか。マザーズは終わってしまいましたし。 で、今詰まらないので読むの止めようか迷っ…